住宅の購入は人生の中でも最も大きな買い物だと言えます。一方で、購入時には様々な制度を活用することで、費用面での負担を軽減できます。
この記事では、住宅を購入した方が利用できる制度の1つである「すまい給付金」について、制度の概要から、どういった方が利用できるのか、どのくらい負担が軽減されるのか、具体的な申請方法などについて解説します。住宅の購入を検討されている方はぜひ参考にしてみてください。
1.すまい給付金とは?
まずは、すまい給付金がどのような制度なのか、その概要を確認していきましょう。ここでは、制度の概要と具体的な対象者、対象となる住宅の条件、すまい給付金の実施期間について解説しています。
1-1. 制度の概要
すまい給付金とは、消費税率の引き上げによって、住宅を購入する方の負担が重くなるのを緩和するために作られた制度です。住宅の購入に関しては、住宅ローン減税がありますが、場合によっては住宅ローン減税による負担軽減の恩恵を十分に受けられない方もいらっしゃいます。そういった方たちをカバーするために作られたのがこのすまい給付金です。
※ 住宅ローン減税については、「消費税増税対策で住宅ローン減税が3年間延長?制度の概要を紹介」で詳しく解説しています。
1-2. すまい給付金の対象者
すまい給付金を受給するには、住宅を持っていて、登記上の持分を保有する必要があります。更に、その上で対象の住宅に住んでいなければいけません。具体的な対象者の条件は以下の通りです。
- 住宅の所有者が不動産登記上の持分保有者であること
- 住民票で住宅の居住者が取得した住宅に住んでいることが確認できる
- 収入が一定以下の方(目安は775万円以下)
- 年齢が50才以上の方(住宅ローンを利用せずに住居を取得している方)
すまい給付金の受給ができるのは上記の条件を全て満たしている方です。なお、住宅ローンに関しては、すまい給付金では以下のように定義されています。
- 自分が居住するために購入する住宅の借入金である
- 期間が5年以上の借入金である
- 金融機関などからの借入金である
50歳未満の方がすまい給付金を利用する場合は、上記の定義を満たした住宅ローンを利用していなければいけません。
1-3. 対象になる住宅の条件
すまい給付金を受給するには、住宅の条件もクリアする必要があります。主な要件としては以下のような点が挙げられます。
- 引上げ後の消費税率が適用されていること
- 床面積が50平米以上であること
- 第三者機関の検査を受けた住宅であること
など
なお、実際には「新築住宅(住宅ローン利用あり)」「新築住宅(住宅ローン利用なし)」「中古住宅(住宅ローン利用あり)」「中古住宅(住宅ローン利用なし)」と、家のタイプと住宅ローンの有無によって細かい条件が変わってきます。すまい給付金を申請する場合は、必ず自分の住宅のタイプに応じて細かい条件を確認するようにしてください。
1-4. すまい給付金の実施期間
すまい給付金の制度は、平成26年4月〜令和3年12月までに引き渡され、入居が完了した住宅までと実施される期間が決められています。この間に住宅の引渡しおよび入居が完了しておく必要があるため注意してください。
2. すまい給付金の給付額


ここからは、すまい給付金の給付額がどのくらいもらえるのかについて解説します。給付額は以下の計算式によって求められます。
給付額 = 給付基礎額 × 持ち分割合
給付基礎額とは、都道府県民税の所得割額をベースとして設定されるもので、所得の目安として扱われます。ちなみに、所得の目安として年収を設定していないのは、年収が同じであっても扶養家族の有無や医療費などの影響によって住宅の購入に掛かる負担額が変わってくるためです。
また、持分割合とは、住宅の名義をどのくらいの割合で持っているのかを表す言葉です。具体的な割合は、不動産の登記事項証明書で確認が可能です。
なお、給付額に関しては、すまい給付金のサイト上でシミュレーションすることも可能です。
2-1. 給付額の目安
給付額は計算式で求められますが、以下の表に記載されている金額を目安とすることも可能です。
「自分がどのくらいもらえるのか?」が気になる方はまずこちらを参考にしてみてください。
住宅ローンを利用する場合(2019年10月~)
収入額の目安 | 所得割額の目安 | 給付基礎額 |
450万円以下 | 7.60万円以下 | 50万円 |
450万円〜525万以下 | 7.60万円〜9.79万円以下 | 40万円 |
525万円〜600万以下 | 9.79万円〜11.90万円以下 | 30万円 |
600万円〜675万円以下 | 11.90万円〜14.06万円以下 | 20万円 |
675万円〜775万円以下 | 14.06万円〜17.26万円以下 | 10万円 |
住宅ローンを利用しない場合(2019年10月~)
収入額の目安 | 所得割額の目安 | 給付基礎額 |
450万円以下 | 7.60万円以下 | 50万円 |
450万円〜525万以下 | 7.60万円〜9.79万円以下 | 40万円 |
525万円=600万以下 | 9.79万円〜11.90万円以下 | 30万円 |
600万円=650万円以下 | 11.90万円〜13.30万円以下 | 20万円 |
3. すまい給付金の申請方法


すまい給付金の申請は、住宅の持分所有者がそれぞれ行う必要があります。例えば、持分所有者が夫と妻の場合は、それぞれが申請する形です。夫が妻の分もまとめて申請するという形は取れないため注意してください。
申請は住宅に住み始めてから必要書類を添付して行う必要があります。申請書に関しては、すまい給付金サイトからダウンロードが可能です。
書類を用意したら提出するのですが、提出方法は郵送と窓口への持参の2種類があります。窓口に持参する場合は、全国にあるすまい給付金申請窓口に提出するようにしてください。
ちなみに、申請は住宅事業者などに代行してもらうことも可能です。また、申請期限は住宅の引き渡しから1年以内となっているため、早めに申請準備を進めるようにしましょう。
4. すまい給付金の受領について
すまい給付金を申請すると、事務局による審査が行われます。申請対象者の条件に合致しているか、住宅の条件は全て満たしているかといった点をチェックし、問題なければ給付金が振り込まれます。振り込まれるまでにはだいたい1ヶ月半〜2ヶ月ほど掛かると考えておいてください。
5. まとめ
今回は、すまい給付金に関して、制度の概要から対象者および対象住宅の条件、給付額、申請方法などについて解説しました。
住宅の購入は大きな費用負担を伴います。そのため、利用できる制度はできるだけ活用するようにしましょう。すまい給付金を利用する場合は、ぜひ今回の記事の内容を参考にしてみてください。