玄関に入り、まず目に飛び込んでくるのは正面の大きな鏡。そして、靴と洋服がショップさながらに並んだ土間と大きなウォークスルークローゼットが存在感を放つ。エアコンも完備されたその空間は、クローゼットというより“衣装部屋”といった趣だ。
「最初に建築士さんにお伝えしたのは“動線”でした。
帰宅したら鍵と指輪を玄関脇の棚に置いてクローゼットへ。朝は着替えたら靴を履いて、大きな鏡で全身のバランスをチェック。最後に玄関で指輪をつけて出かけます。
日常生活の流れがスムーズになるよう、照明のスイッチの位置も相当考えました」
そんな生活の中心といってもいいクローゼットの天井には、鳥が憩う華やかなクロスが貼られている。
「このクロスはひと目見て、どうしても使いたいと思いました。でも、壁に貼ると洋服が映えないので天井だけに。それがむしろ良かったですね。頭上で鳥がくつろいでいるみたいで癒されます」
北欧家具が映える鮮やかなアクセントウォール
M様は、すべての部屋に違う色を使いたいと、壁紙の色を慎重に選んだそう。寝室には、夜空を思わせる濃厚なネイビーを。玄関にはブルーグレーのアクセントウォール。そしてアクセントウォールの色は、キッチン、リビングと移動するにつれ少しずつ鮮やかなエメラルドグリーンに変化する。
「寝室は落ち着けるよう暗めの色に。過ごす時間が長いリビングの壁は一番好きな色にしたくて、かなり迷いました。大切にしているウォルナットの北欧家具が映える色にしたかったので、壁紙のサンプルを家具の後ろに貼って、朝と夜の見え方の違いも比べました。床板も同様に、サンプルを家具の下に敷いて選びました。壁と床をいろいろと組み合わせて選ぶのは大変でしたが、本当に幸せな時間でした」
と笑うM様。
その笑顔からは、ファッションを楽しむ感覚でワクワクと選ぶ様子が伝わってきた。
具体的な希望プランを踏まえた物件探し
快適に暮らせる自分好みの間取りやインテリアを実現させるのが長年の夢だったと話すM様。
お気に入りの街に気になる物件を見つけ、内見日の午後にインテリックス空間設計とお約束。ところがその物件は満足いくものではなかったため、インテリックス空間設計で改めて探すことになった。
「一緒に物件を探してくれたスタッフさんが設計もできる方だったので、開放感のある家にしたいなど私の希望を伝えたら、この物件はこれができます、これができませんと詳しく説明してくれて助かりました。建築士さんもフィーリングが合い話しやすい方でしたし、本当に良い出会いができたと思います」
開放的な寝室の奥に隠された“秘密の小部屋”
物件を探している時から望んでいた通り、廊下の壁や浴室のドアはガラス張りで、クローゼットにも扉がない、開放的なM様のお家。
そんなお宅で、M様曰く唯一隠れることができる場所が“秘密の小部屋”だという。
「建築士さんに “秘密の小部屋”を作りませんかと言われ、アーチ型の入口にカーテンがかかった書斎の写真を見せてもらいました。その素敵な書斎も、“秘密の小部屋”という呼び方も、グッと心に刺さったんですよね。
我が家では書斎ではなく収納となりましたが、布団やスーツケースを片付ける場所がなかったので、最高のスペースとなっています」
どのタイミングでも、希望は妥協せずに伝えること
生活の動線から、色のコーディネートととことんこだわったM様は、「今回のリノベーションは95%満足です!」と笑う。
残りの5%はというと……。
「洗面台の壁紙を一部だけストライプにしましたが、全面ストライプにしたかったですね。それからトイレの壁紙も一部だけ無地なんです。どちらも予算の都合であきらめたので、またいずれインテリックス空間設計にお願いして貼り変えたいと思います」
ご自身の暮らし方を冷静に俯瞰してプランを練り上げたM様。画像資料も用意し、建築士には希望を明確に伝えてきたというが、それでもプランがまとまる頃にようやく具体的に見えたこともあったとか。
「最初から想像力を最大限に使ってはいましたが、今さらというタイミングで建築士さんに伝えたこともありました。もう対応できないかもしれないとも思いましたが、言わずに後悔したくなかったので。すると建築士さんはイヤな顔ひとつしないで、私の希望を叶えてくれました。
自分がこれから暮らす場所ですから、やりたいことや気になることは妥協せず、まずはひと言伝えるべきだと思いました。だから今は大満足です!」