「家の顔」である玄関は、住まいの第一印象を決める重要な空間です。「高級感のある玄関にしたいけれど、何から始めればいいかわからない」「なぜか垢抜けない」と悩んでいませんか？
この記事では、玄関に高級感をもたらすための具体的な方法を徹底解説します。空間を整える基本原則から、照明計画、アイテム選び、新築・リフォームで役立つ間取りの工夫まで、プロの視点でわかりやすく紹介。
1. 玄関に高級感が生まれる5つの基本原則
高級感のある玄関作りは、高価な家具を置くことだけが答えではありません。まずは空間全体を整えるための「基本原則」を理解することが、成功への一番の近道です。
1-1. 原則1：徹底した「引き算」の美学｜余白を活かす
高級感と雑多な印象を分ける最大のポイントは「物の量」です。厳選されたものだけが置かれ、美しい「余白」が意図的に作られた空間を目指しましょう。
- 靴は1人1足まで: たたきに出す靴は最小限にし、他はシューズボックスにしまう習慣を。
- 飾り物は厳選する: アートやオブジェは1〜2点に絞り、空間の主役としてその魅力を引き出します。
「足し算」ではなく「引き算」で研ぎ澄ませることが、高級感への第一歩です。
1-2. 原則2：生活感を徹底的に排除する
高級感を演出するには、日常の「生活感」をいかに隠すかが鍵となります。
- 傘: デザイン性の高い傘立てを選ぶか、思い切って収納内に隠しましょう。
- 鍵や小物: デザイン性の高いトレイやボックスを定位置にすることで散らかりを防ぎます。
- 消臭剤・スプレー類: 市販のパッケージのまま置かず、おしゃれなボトルに詰め替えましょう。
1-3. 原則3：インテリアの「テイスト」を統一する
玄関ドア、床、壁、インテリアの「テイスト（雰囲気）」を統一すると、まとまりのある空間になります。
- モダン: 直線的で無駄のないデザイン。
- ホテルライク: モダンをベースにした、上質で非日常的なスタイル。
- 和モダン: 伝統的な和の要素と現代的なデザインの融合。
- 北欧: シンプルでナチュラル、温かみのあるスタイル。
まずは玄関ドアのデザインを基準にテイストを決めると、失敗が少なくなります。
1-4. 原則4：素材（マテリアル）にこだわる
視覚だけでなく、触覚に訴える「素材感」も高級感を左右します。本物の素材は、空間に深みと上質さをもたらします。
- 床材: 大判タイルや天然石、モルタル仕上げで重厚感と広がりを演出。
- 壁材: 一面だけをエコカラットやアクセントクロス、ウッドパネルなどに変え、空間に深みを。
- 建具・家具: アイアン、真鍮、無垢材など、経年変化を楽しめる素材を選ぶと味わいが増します。
1-5. 原則5：清潔感を常に維持する
どんなに素晴らしいインテリアも、ホコリや汚れがあっては台無しです。高級感の土台は「清潔感」です。
- 定期的な掃除: たたきの掃き掃除や拭き掃除を習慣化しましょう。
- ニオイ対策: 定期的な換気やデザイン性の高いディフューザーなどで、常にクリーンな空気を保ちます。
2. 高級感を格上げする！照明計画の極意
光と影を巧みに操る「照明計画」は、玄関の雰囲気を劇的に変える力を持っています。陰影を作ることで空間に立体感が生まれ、高級感が一気に高まります。
2-1. なぜ照明が重要なのか？光と影がもたらす効果
均一な光で照らすだけでは、のっぺりとした印象になりがちです。複数の照明で必要な場所を照らし、意図的に影を作る「多灯分散」で陰影をつけることで、空間に立体感と奥行きが生まれ、高級感が高まります。
2-2. 間接照明を効果的に使うテクニック
光源を直接見せず、壁や天井に光を反射させる間接照明は、ホテルライクな空間作りに不可欠です。
- コーニス照明・コーブ照明: 壁や天井を照らす手法。壁の素材感を際立たせたり、空間に広がりと柔らかさをもたらします。
- フットライト: 上がり框の下や壁の低い位置に設置し、安全性を確保しつつ幻想的な雰囲気を演出します。
2-3. 主役級の「見せる照明」でアクセントを
間接照明をベースに、デザイン性の高い照明をアクセントとして加えます。
- ペンダントライト: 天井から吊り下げ、空間のフォーカルポイント（視線が集まる場所）になります。特に吹き抜けなど天井高のある玄関におすすめです。
- ブラケットライト: 壁に取り付け、アートや鏡を照らすことでギャラリーのような雰囲気を生み出します。
2-4. 色温度で空間の雰囲気をコントロールする
照明の色味は、温かみのあるオレンジ色の光「電球色（約3000K）」を選びましょう。リラックスできる落ち着いた雰囲気を演出し、高級感のある空間に最適です。
3. 【アイテム別】高級感を演出するインテリア選び
基本原則と照明計画が整ったら、空間を彩るインテリアアイテムを選びましょう。ここでは、高級感を高めるためにおすすめのアイテムを5つご紹介します。
3-1. アート・絵画｜空間のフォーカルポイントを作る
壁に一枚のアートがあるだけで、空間は一気に洗練されます。壁の余白とのバランスが良いサイズを選びましょう。モダンな抽象画やモノクロ写真は、どんなテイストにも合わせやすくおすすめです。
3-2. 観葉植物｜生命感と洗練さをプラスする
生き生きとしたグリーンは、空間に生命感と癒しをもたらします。日陰に強い品種（サンスベリア、モンステラ等）を選び、シンプルで質感の良い陶器鉢などに合わせると、植物の美しさが引き立ちます。
3-3. ミラー（鏡）｜空間を広く、明るく見せる魔法
鏡は身だしなみのチェックだけでなく、空間を広く明るく見せる効果があります。特に狭い玄関には有効です。フレームのデザインにこだわれば、それ自体が美しい壁飾りのような存在になります。
3-4. ディフューザー・お香｜五感で感じる上質な空間
視覚だけでなく、嗅覚に訴える「香り」も高級感を演出する重要な要素です。柑橘系やウッド系など、万人受けする上品な香りを選びましょう。デザイン性の高いアイテムなら、見た目も楽しめます。
3-5. 玄関マット・ラグ｜足元からおもてなしを
玄関マットは、外からの汚れを防ぐだけでなく、空間の印象を引き締める役割も。無地で毛足の長いものや、上質な天然素材（ウール等）のものは高級感を出しやすく、インテリアの良いアクセントになります。
4. 【新築・リフォーム向け】間取りで差がつく高級玄関の作り方
これから家を建てる方やリフォームを検討している方は、間取りの工夫でさらにワンランク上の玄関を実現できます。
4-1. 収納計画が成功の鍵｜シューズクロークのススメ
高級玄関の原則「生活感を隠す」を最も簡単に実現できるのが、ウォークイン型の「シューズクローク（土間収納）」です。靴や傘、ベビーカーなどをまとめて隠すことができ、常にすっきりした玄関をキープできます。
4-2. 飾り棚「ニッチ」でギャラリーのような空間を
壁の一部を凹ませて作る飾り棚「ニッチ」は、省スペースでディスプレイスペースを確保できます。ダウンライトを仕込めば、季節の花やオブジェを美術館のように美しく飾ることができます。
4-3. 広く見せる土間スペースの工夫
玄関の土間スペースを広く取ると、開放的で贅沢な印象になります。上がり框（かまち）を斜めや曲線にデザインしたり、リビングとの間にガラスの仕切りを設けたりすると、空間に動きと広がりが生まれます。
5. まとめ
今回は、玄関に高級感をもたらすための具体的な方法を解説しました。
最後に、重要なポイントを振り返りましょう。
- 物を減らし、余白を作る「引き算」の美学を意識する
- 生活感の出るものは徹底的に隠す
- 空間全体のテイストを統一し、まとまりを出す
- 光と影を操る「照明計画」で空間に深みを与える
- アートやグリーン、鏡などのアイテムを効果的に使う
玄関は、暮らしの起点であり、ゲストを迎えるおもてなしの空間です。この記事で紹介したヒントを参考に、できることから一つずつ取り入れて、あなたの玄関を心ときめく上質な空間へとアップグレードしてみてください。
