不動産投資ローンと担保とは?銀行の担保評価について銀行員が徹底解説!

不動産投資
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「不動産投資ローンの担保はどうやって評価しているの?」
不動産投資では、多くの方が銀行などの不動産投資ローンを利用しています。
もちろん自己資金だけ、無借金で不動産投資できれば理想的とも言えますが、現実には不動産投資ローンを活用し、自己資金は温存しつつ、投資する方が多いのです。

不動産投資ローンには担保が必要です。ですから、銀行がどのように担保を評価するのか?それを知ることは、不動産投資にとって有効な知識と言えます。

たとえば、不動産投資で購入を検討している物件が、銀行の不動産投資ローンの担保になっていたとしたら、それはある意味で「銀行で担保として価値があると認められた物件」なのです。

この記事ではこういった担保の基本と、銀行が担保を評価する方法について、実際に担当してきた銀行員が解説します。ぜひ参考にしてください。

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1. 担保評価とは?

銀行が融資の審査をする際に、担保となる不動産の価値を調べ査定(値踏みすること)するのが担保評価です。
銀行が担保を評価する前提は「融資が返済できなくなった時に、売り払ってどれだけ融資返済にあてられるか?」と言う点です。

このように、担保は銀行の基準で値踏みする、必ずしも担保評価を基準として融資額が決まるわけではありません。
不動産投資ローンは総合的に融資を判断するため、たとえば「評価が1億円だから、自分は1億円まで借りられる」ものではないと言う点は、ぜひ覚えておいて下さい。

銀行が担保となる不動産を評価するには

  • 現地調査
  • 評価算出

という2つのプロセスがあります。
では、はじめに担保を銀行が調査する手順から見ていくことにします。

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2. 担保評価のプロセス 現地を調べる

担保となる予定の不動産を調べるため、現地に行き物件を直接調査するのが現地調査です。
現地調査の手法やチェックする点などは融資の審査に関わる極秘事項ですが、今回はその一部を紹介します。

2-1. チェックするポイント 地盤・傾斜

緩い地盤だと、建物を建設するためには地盤強化の費用が必要になり、土地の評価額としては下がる要因になります。
例: 田んぼや谷を埋め立てたような土地で、軟弱な地盤の土地など

もちろん埋め立てた土地がすべて軟弱というわけではなく、現地調査や造成の履歴から判断します。

また、土地が傾斜している場合も建物を建築できるよう整地したり、擁壁を作ったりするなど造成にお金がかかると予想される土地は、造成費用を割り引いて評価額が下がる場合があります。

例: 土地が階段状で、擁壁を作り「段々畑」状態にしないと建物が建設できない土地

2-2. チェックするポイント 騒音・悪臭

これらも現地に行かないとわからない部分です。
騒音や悪臭とひとことで言っても、少し気になるといった程度から、1秒も我慢できないひどいレベルまでと、さまざまです。もしかしたら騒音などが我慢できないレベルで、前の持ち主が手放したかも知れません。

いっぽう、音や匂いは感じ方にも個人差があり、一様にダメとも言い切れないため判断がむずかしいポイントでもあります。
ここで担保価値を左右する基準として「自分ならこの場所に住みたい(我慢して住める)と思うか?」がひとつの指標になります。

例: 風向きによって、畜産施設の匂いがきつくなる日がある、列車が通過すると日常会話も聞き取れない時がある

2-3. チェックするポイント 建物の裏側

これはアパート1棟などを不動産投資ローンで購入する、いわゆる「オーナーチェンジ」で起こる「あとからなにかを付け足した場合」のケースで、担保評価が下がる要因にもなります。
例: 各部屋用にアパートの裏側部分に物置を作った、1階駐車場部分を改築して貸店舗にした

建物を増改築すれば、原則として登記しなければいけません。
しかしながら、増改築の登記(表示変更登記)は費用がかかるため、そのまま放置しているオーナーもいます。
増改築の登記はするべきですが、登記していないからといってペナルティーはまずありません。
増改築で建物の固定資産税評価が上昇したとしても、その分の税金を納めていれば、登記を強要されることもまずないからです。

ただし、これが不動産投資ローンで銀行の担保になると話が変わってきます。
増改築の登記ができていない場合や、敷地内に倉庫を建てたのに未登記だった場合には、銀行からそれらの登記を求められます。
増改築によって建ぺい率や容積率が超過していると、厳密は違法建築となります。銀行は違法建築を担保にしませんから、つまり融資を受けられないこともあり得るのです。

※ 参考記事: 「建ぺい率、容積率とは?基本知識から計算方法、緩和条件について

銀行の担保現地調査では、事前に承諾を得たうえで建物の裏側、後ろ側、ときには地下も調査します。
なぜなら未登記や増改築は、往々にして外・正面から見えにくい部分に多いからです。

2-4. チェックするポイント 入居の調査

不動産投資ローンでは「入居」が重要な要素となります。
こちらも現地で踏査する場合があります。
投資用不動産では居室と入居戸数、家賃などをまとめた「レントロール」と呼ばれる資料でその物件への投資を判断しますが、銀行の不動産担保評価ではレントロールの実証を現地で調査するのです。

過去、不動産投資ローンの不正融資でひとつの問題となったのがこの入居調査でした。

例: 空室を入居に見せかけるためにカーテンを付けて偽装した、銀行が調査する日時を知っていた悪徳業者がその日だけ社員を住人に仕立てた

入居しているかをどのように調べるか?も極秘事項なのですが、こちらは一昔前の刑事ドラマなどのシーンを思い浮かべると、当たらずしも遠からずといった感じです。

例: 外付けの電気メーターの回転数で人が生活しているか推測する、集合郵便受けやドアポストにチラシが溜まっていないかをチェックする

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3. 担保評価のプロセス 担保を評価する

担保評価の方法には

  • 積算法
  • 収益還元法

2つがあります。
これは銀行に限らず、一般的な担保評価の手法です。

3-1. 積算法(原価法)

土地と建物を、それぞれ基準となる指標と比較して加算減産することで評価するのが積算法です。
積算法では土地、建物をそれぞれ評価して合計した数値が評価額となります。

まず土地は、路線価(相続制路線価、または固定資産税路線価)や基準地価といった指標を用いて、基準となる土地(基準地)と比べて各要素(道幅はどうか?駅に近いか?など)を「基準値より良いからプラス1点」「基準値より悪いからマイナス3点」といった具合に基準値の地価と比較し、対象となる土地の評価を算出します。

建物の評価は、種類(居宅、店舗)や構造(木造、鉄筋コンクリート造)ごとに基準値となる「再調達原価(再調達価格、新価とも)」を用いて計算します。
再調達原価とは、ひとことで言えば「その建物を、もう一度建て直すときに必要な建築単価(1㎡あたり)」です。
一般的には火事になったときに「燃えにくい」ほど高くなる数値ですから、木造より鉄筋コンクリート造のほうが、再調達原価は高くなります。

再調達原価を使った、建物の担保評価を算出する計算式は以下の通りです。

計算式

再調達原価×経済的残存耐用年数(年)÷経済的耐用年数(年)×建物面積

経済的耐用年数とは、構造により決められたもので、木造より鉄筋コンクリート造のほうが長くなります。
経済的残存耐用年数は、建築してから経過した年数を引いた、残りの耐用年数(鉄筋コンクリート造で耐用年数が35年の場合で、築10年なら経済的残存耐用年数は、35-10の25年)

計算例

前提条件:鉄筋コンクリート造アパート 建物面積200㎡ 再調達原価は25万円/㎡ 経済的耐用年数は35年 築10年経過(経済的耐用年数25年)の場合

再調達原価25万円/㎡×経済的残存耐用年数25年÷経済的残耐用年数35年
上記で単価は178,571円×建物面積200㎡=35,714,285円となります。

(再調達原価、経済的耐用年数などは、銀行により基準が異なり、原則非公開です)

経済的残存耐用年数は年々少なくなるため、たとえば上記のケースでは築後35年が経過したら建物価値はゼロとなります。
ただし、不動産投資ローンで建物を評価するときはもう一つの観点で計算し、総合的に評価をします。
そのもう一つの観点が「収益還元法」です。

3-2. 収益還元法

収益還元法とは、不動産投資において物件から得られる収益から費用を差し引いた収益を、不動産投資額に対する利回りで計算する手法です。

収益還元法の計算式は以下の通りです。

計算式

純収益 ÷還元利回り=収益価格(不動産の担保評価額)

一定期間(通常は1年間)の純収益(総収益―総費用)を還元利回りで割り戻したもので、ここでは計算式の紹介に留めます。
また収益還元法の計算方法は上記の直接還元法以外にもあり(DCF法)、興味のある方は「収益還元法」で検索してみてください。

計算式の用語解説

総収益: 年間の賃料や敷金、保証金とその他収入(駐車場代など)などの収入
総費用: 年間の修繕費、維持管理費などの費用
還元利回り: いわゆる「利回り」のこと。評価する銀行により基準が異なる

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4. FLIE(フリエ)なら投資用物件の仲介手数料が不要

不動産投資のパフォーマンスを高めるには、諸費用をいかに抑えるかが重要です。その中でも大きな割合を占めるのが仲介手数料ですが、売主と直接取引できるフリエを利用することで仲介手数料不要での物件購入が可能です。

  • 売主と直接やり取りできる
  • 交渉や手続きに関しては全面バックアップ

上記について詳しく解説します。

4-1. 売主と直接やり取りできる

そもそもフリエとは、売主と買主が直接取引できるプラットホームです。フリエにはたくさんの物件が掲載されていますが、その物件は全て売主が直接販売している物件です。

つまり、フリエを利用すれば売主と直接やり取りできるため、仲介手数料を支払わなくて良いということです。仲介手数料を支払わなくて良いということは、物件によっては100万円以上の費用が浮きます。

4-2. 交渉や手続きに関しては全面サポート

売主と直接やり取りするということは、間に仲介会社が入らないということです。そのため、交渉や手続きに関して不安を感じる方もいらっしゃるでしょう。しかし、フリエを利用すれば担当エージェントが以下のようなサポートをしてくれます。

  • 売主との交渉や手続きのサポート
  • ローンについての相談

上記のサポートがあるため、売主と直接やり取りするとしても安心できます。このように、フリエは売主と直接やり取りするので仲介手数料が掛からない上に、担当エージェントのサポートも受けられるのです。

5. まとめ

ここまで銀行が担保を評価するプロセスを紹介してきましたが、これは不動産投資ローンで投資する物件を検討する際にも参考になります。

たとえば、物件の評価として自分で現地を見ることで「銀行がいくらと値踏みするか?」を考えると、その物件の売却価格(=投資額)が高いのか?割安なのか?を考えるヒントになります。

また、建物裏側や地下に増改築があるなら、不動産投資ローンの担保として登記費用が余分に必要になるかも?と考えて、先手を打って費用分の値引き交渉をするなど(うまくいくか?は保証できませんが)も考えられます。
このように、あなたの不動産投資ローン検討にこの記事が参考になれば幸いです。

加藤 隆二

勤続30年、まだまだ現役の銀行員。
数えきれないほどのお客様と会い、お金にまつわる相談を一緒に考え、解決してきました。
その経験から、役立つ情報を伝えたく副業ライターをしています。

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