建ぺい率、容積率とは?基本知識から計算方法、緩和条件について

不動産知識
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建ぺい率、容積率という言葉は、不動産購入を検討している方であれば一度は耳にしたことがあると思います。
特に、土地を購入して住宅を建てることを検討されている方であれば、絶対に必要となる基礎知識です。

建ぺい率と容積率は、都市計画法や建築基準法で地域ごとに上限が定められており、建物の高さや大きさを制限するもの。家を建てることは考えていないという方も、今お住まいの周辺にはどんな建物の規制があるのか知っておくのも良いと思います。

今回は、建ぺい率と容積率それぞれの意味や違い、計算方法について解説していきます。

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1. 建ぺい率と容積率とは

建ぺい率とは、敷地面積に対する建物面積(建物を真上から見た時の面積)の割合を言います。
建物を建てる土地に、どのくらいの広さの建物が建てられるかの数値が建ぺい率です。

一方、容積率は敷地面積に対する延べ床面積の割合を指します。延べ床面積とは、建物のすべての階の床面積を合計した面積のこと。

建ぺい率が平面的な広さの上限であるのに対して、容積率は敷地面積に対する三次元空間に対する割合のことを言います。

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2. 建ぺい率と容積率は、用途地域によって異なる

建ぺい率や容積率の数値が高いほど、敷地に対して建物の面積は大きくなります。
しかし、日当たりや風通し、防災の面でも制限をする必要があるため、建築基準法によって用途地域や防災地域等の種別ごとにそれぞれの上限が定められています。

用途地域とは、計画的に市街地を形成するため、建築できる建物の用途や建築の制限等の一定のルールを定めた制度のことを言います。

住民がそれぞれ自由に建物を建てていては、住環境が損なわれ、様々な不都合やリスクが生じてしまいます。そのため、用途地域を定めることで都市の環境が保護されているのです。

用途地域には13種類ありますが、大きく「住宅系」、「商業系」、「工業系」の3つに分けられ、さらに建築の規制や建築できる施設の種類などの制限により細かく分けられます。
建ぺい率、容積率も用途地域種別ごとに上限が設定されています。

用途地域建ぺい率(%)上限容積率(%)上限
第一種低層住居専用地域30・40・50・6050・60・80・100・150・200
第二種低層住居専用地域30・40・50・6050・60・80・100・150・200
田園住居地域30・40・50・6050・60・80・100・150・200
第一種中高層住居専用地域30・40・50・60100・150・200・300
第二種中高層住居専用地域30・40・50・60100・150・200・300
第一種住居地域60200・300・400
第二種住居地域60200・300・400
準住居地域60200・300・400
近隣商業地域80200・300・400
商業地域80200・300・400・500・600・700・800・900・1000
準工業地域60200・300・400
工業地域60200・300・400
工業専用地域30・40・50・60200・300・400

自分が住んでいる地域の用途地域は、市区町村の都市計画課で確認することが可能です。

また、各自治体のウェブサイトでも簡単に確認できるため、検索してみることをおすすめします。

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3. 建ぺい率、容積率の計算方法

建ぺい率、容積率は下記の計算式で算出できます。

「建ぺい率(%)=(建築面積(㎡)÷敷地面積(㎡))×100」
「容積率(%)=(延べ床面積(㎡)÷敷地面積(㎡))×100」

建築面積と延べ床面積は、建物を新築する時に役所に提出する「建築確認申請書」で確認できます。
先述したように、用途地域ごとに定められた建ぺい率、容積率の上限以上の建物は建てることができないということになります。

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4. 条件によっては、制限が緩和される

建ぺい率と容積率は、特定の条件を満たした場合に制限が緩和されます。

建ぺい率が緩和されるケース

一定の条件を満たす場合、指定の建ぺい率が緩和される場合があります。

まず、建ぺい率の制限を受けない場合としては、定められた建ぺい率が80%の用途地域で、防災地域内にある耐火建築物は建ぺい率が100%になります。

そして、下記のいずれかに当てはまる場合は、建ぺい率が10%プラスとなり、両方当てはまる場合は20%プラスされます。

  • 防火地域内であり、耐火建築物(同等以上の延焼防止性能を有する建物も含む)、また、準防火地域内で、準耐火建築物(同等以上の延焼防止性能を有する建物も含む)である場合。
  • 特定行政庁の指定した一定要件を満たす角地である場合。

なお、角地の定義は自治体によっても異なり、また緩和措置の適用条件は自治体の条例の影響を受けることもあるため、緩和条件の適用を前提で土地購入をされる方は、事前に地域の担当窓口に必ず確認ください。

容積率が緩和されるケース

容積率にも一定条件で制限が緩和されるケースがあります。
まず、建物内に地下室がある場合は、建物全体の3分の1までなら容積率の計算から除外することが認められています。

その他にも、建物内に駐車場がある場合も建物の5分の1までなら容積率の計算から除外され、ロフトなどの屋根裏収納は、それらの階の床面積の2分の1までなら除外されます。

また、バルコニー、ベランダなどの建物の外壁から出た部分が1メートル以内のものは、そもそも延床面積に算入されません。出窓や吹き抜けも同様に算入されないため、お部屋を広く見せるためにうまく取り入れたいですね。

5. 建ぺい率、容積率に関する注意点

建ぺい率、容積率以外の建築制限

建築制限に関する規定は、建ぺい率と容積率以外にもあります。

主に低層住宅専用地域に適用され、建物の高さを原則10m、または12mに制限するという「絶対高さの制限」。日当たりや風通しを確保するため、隣接する隣地や道路、住宅の北側への高さ制限を行う「斜線制限」。周辺エリアの日照を確保するために高さ制限を行う「日影規制」。その他にも、自治体ごとに決められた建築規制があります。

最終的には、建ぺい率、容積率、そしてこれらの高さ制限が組み合われて建築物の大きさが決まるため、実際には建ぺい率や容積率いっぱいには建てられないというケースもあります。

こうした様々な建築制限があることも覚えておきましょう。

建ぺい率、容積率をオーバーしたら住宅ローンは組めない

建ぺい率や容積率を守らずに建築してしまった場合には違法建築物となってしまい、銀行での融資や住宅ローンを利用することができません。

違法建築は市場価値がなく流通が難しいため、担保価値がないと判断されるためです。
こうしたことにならないよう、規制に関する事前の確認や、不動産会社や建築会社といったプロへの相談は必ず行いましょう。

6. まとめ

今回は、建ぺい率と容積率について詳しく解説してきました。
これから家を建てようとされる方以外でも、自分の住んでいるエリアの建築制限について知ることは普段の生活にも役立ちます。

ぜひ、この記事を参考にして、お住まいのエリアの用途地域や建築制限について調べてみてください。