今や各家庭での防災は必須の時代になりました。ご家庭でできる災害時の備えとして食料の確保はとくに重要です。最低でも3日分、大規模災害時には7日分の備えが必要といわれています。そんな中注目されているのがローリングストックです。
ローリングストックは普段食べている日常食品を多めに購入し、消費→補充のサイクルを繰り返す食料備蓄方法です。無駄なく備蓄できる最強の防災手段として、ご家庭で取り組む方が増えています。
ただし食料を備蓄するとなると、うちには収納する場所なんてないよという声が聞こえてきそうですね。でも大丈夫!実はローリングストックは狭い空間に最も適した備蓄方法なのです。
今回はローリングストックの最適な収納方法と、おすすめ備品リストをご紹介します。
ローリングストックを始めようと思っている方や、一度やってみたけど断念したという方のために、わかりやすく解説していきますね。
1. ローリングストックは人数分×1週間分が安心!最低でも3日分を目安に!
具体的な収納方法の前に。ローリングストックってそもそも何日分があればいいのでしょう?
内閣府によると、安心の目安は家族分×7日分です。7日分の食料なんて収納場所が足りないと思う方も多いと思いますが、安心してください。最初の1~2日分は冷蔵庫や冷凍庫にある食材でやりくりできることも多いのです。冷凍品でも自然解凍で食べられる食材は案外あるもの。実際に災害時用にストックする備蓄は4〜5日分が目安となります。
ただし、最初からあまり無理をして、結果的に継続できないと本末転倒。ローリングストックを初めて実践する方の場合、まずは3日分くらいを目安にするのもいいでしょう。
参考: 内閣府 防災情報のページ
2. 3つのコツでわかる!ローリングストックの効率的な収納方法
ここからはローリングストックの収納方法について3つのコツをご紹介します。すぐに実践できるコツばかりです。とくに収納が苦手で…という方は必見ですよ。
2-1. 収納のコツ~その①~食品の種類ごとに分けて収納する~在庫や賞味期限がわかりやすく便利!~
ローリングストックでは食品の種類ごとに分けて収納する方法が有効です。なぜなら賞味期限が一目瞭然!わかりやすいからです。また、何がどれくらいあるかの在庫も見える化でき、足りない分を補充する際にも便利です。
収納する場合、賞味期限が新しいものを奥に、古いものを手前にするのが鉄則(または新しいものを左に、消費は右からなどもGOOD)。
袋麺などは外袋から出して見える化
袋麺など何個かセットで売られている場合、外袋から出して小分けにすることで個数が一目瞭然です。マネしたいテクニックですね。
メリットが多い食品の種類ごとに収納する方法。補充が必要な食品がすぐ見分けられることで、無駄を省けますよ。ぜひ取り入れてみてください。
2-2. 収納のコツ~その②~収納場所はスペース確保と分散収納で解決!
ローリングストックの場合、分散収納が有効です。一か所のみに収納することメリットは、管理がしやすいことですが、半面デメリットも。それは地震などの場合、収納場所の扉が開かなくなってしまう場合があることです。分散収納していれば、そんな危険も回避できます。
また水など、大きくかさばるものは、2~3か所に分けて収納することで、狭いスペースを有効活用できますよ。
分散収納のおすすめ場所
● キッチンの収納スペース
● クローゼットや押し入れ
● リビング
● 子供部屋
● 車のトランク
よく消費するものや、比較的賞味期限の短い食品は、目が行き届くキッチン周りに収納するのがおすすめ。賞味期限が長い食品はキッチン以外の場所に分散し、収納場所を有効に活用しましょう。
2-3. 収納のコツ~その③~便利グッズを使って賢く収納しよう~
収納スペースが限られている場合、便利グッズを使うと、収納できる量が飛躍的に増えます。また整理されていると取り出しやすい、何があるか見えやすい、賞味期限がわかりやすいなど良いことずくめ。
収納上手さんの実例を見てみましょう。
100円ショップのグッズを使った収納テクニック
キッチンの収納スペースを利用し、100円ショップのグッズを上手く活用したテクニック。食材の種類ごとにきれいに並んでいます。立てて収納することで、食品ごとの在庫がわかりやすく見える化にも。日付の新しいもの順に左から収納するなどルールを決めれば、消費→補充のサイクルも無駄なくスムーズに行えますね。
収納ケースは100円ショップのダイソーやセリア、または無印良品、ニトリなどを活用している方が多いようです。ご家庭の収納場所にフィットする収納ケースを見つけてくださいね。
3. これが基本!備蓄品リストとローリングストックのおすすめ食材
記事の冒頭でローリングストックは7日分の備蓄が安心とお伝えしました。具体的にどんな食品をどれくらい揃えたらいいのでしょうか?また食品以外に備えておいた方が良いものはあるのでしょうか?
農林水産省の災害時に備えた食品ストックガイドによると、備蓄に必要な商品は必需品、主食、主菜、副菜その他の4つにカテゴリー分けされています。
こちらの図は大人2人分を想定した備蓄リストです。リストはあくまで一例です。量や種類を参考にしつつ、ご家族の好みの食品を揃えてください。
3-1. 大人2人分を想定した1週間の備蓄リスト
備蓄に必要な食品の具体例~大人2人分×1週間~
カテゴリー | 具体的な商品の種類 |
必需品 | 水などの飲料用水(2リットル×6本を4箱) (お茶など普段から飲み慣れているものもあると良い) |
主食(炭水化物) | 米(2キロ×2袋) カップ麺類(6個) 乾麺(そうめん2袋、パスタ2袋) パックごはん(6個) シリアルなど |
主菜(たんぱく質) | レトルト食品(牛丼のもと、カレーなど18個) 缶詰(好みのもの18缶) |
副菜その他 | 日持ちする野菜類(じゃがいも、たまねぎなど) インスタント味噌汁や即席スープ ジュース類 チョコレートやお菓子など(常温で保存できる好みの物) |
料理や飲料用に必要な水は「一日3リットル」×人数分
水の備蓄について、目安は料理や飲料用で一日3リットル×人数分です。たとえば4人家族の場合、一日12リットルが必要とされています。2リットルのペットボトルが6本分ですね。7日分を備蓄する場合、2リットルのペットボトル42本分が目安です。42本分のスペースはかなりなものです。やはり前述の通り、クローゼットや子供部屋など収納場所を複数に分ける分散収納をおすすめします。
以上、備蓄品リストとして、あった方が良いおすすめ食品をご紹介しました。
3-2. 実は重要!食品選びのポイント
食品選びのポイントは普段から食べなれている食品を選ぶことです。とくにお子さんがいらっしゃる場合、いつも食べなれている食品やお気に入りのおやつを備蓄しておきましょう。非常時になると、食べなれているものや、好きなお菓子などがあることで心がホッと安らぐものです。
また、普段通っているスーパーで手軽に揃えられる食品を選ぶこともポイントです。いつでも買い足せる、普段使いの食品だからこそ、ストレスなくローリングストックを継続できますよ。
3-3. 食品以外に備えておきたいもの
また、食品以外にあったら便利なものとして、
- カセットボンベ
- 食品用ポリ袋
- ラップ
- アルミホイル
- クッキングシート
- キッチンペーパー
- 除菌スプレー
などがあります。
災害時は水を使えないことが想定されます。たとえば食事のとき、お皿にラップをかけて使えば、食後にラップを外すだけでいいので便利です。手を洗えないことも想定して、除菌スプレーなども必要になるでしょう。
災害時は温かい食べ物があれば心が休まります。カセットボンベもできるだけ準備しておきたいです。
4. ローリングストックは一石二鳥!整理整頓と災害対策の両立ができる
収納場所に適しているのは主にキッチン周り。よく目が行き届くため、食材の賞味期限や足りないものの補充などを無駄なく行えるためです。ただしキッチンには収納スペースなんて余裕ないかも…というご家庭も多いでしょう。
ローリングストックを始めるにあたって、一度キッチン周りを整理してみましょう。すでに賞味期限が切れてしまった食材や、何年も使っていない食器類など、意外とスペースを取ってしまっているものがありませんか?
実はローリングストックは、整理整頓のきっかけになることも多いのです。一度スペースを確保してしまえば、あとは消費→補充のサイクルを繰り返すだけ。いざというときの安心のために、使わない物を処分し収納場所を確保するのがおすすめですよ。
5. ますます高まるローリングストックの必要性
毎年のように起こる自然災害や南海トラフ巨大地震などに備え、各家庭での食料備蓄の需要はますます高まっています。とはいえ、日常生活の延長で無理なく防災できるのがローリングストックのメリット。通常時から備えることで、防災の意識が高まるという利点もあります。
今回はローリングストックを始めるにあたって、収納のコツから備蓄リストまでをご紹介しました。これからローリングストックを始めてみようと思っている方、または、一度スタートしたけど断念してしまった方へ、何かひとつでも参考になることがあればうれしいです。