「この物件、家賃が安いけど…洗濯機置き場が外?」
賃貸物件を探していると、ベランダや共用廊下に洗濯機を設置する「外置き」の物件に出会うことがあります。「すぐに壊れそう」「汚れない?」といった不安から、選択肢から外してしまう人も多いのではないでしょうか。
しかし、洗濯機が外置きの物件には、家賃の安さをはじめとした見逃せないメリットも存在します。デメリットを正しく理解し、適切な対策を講じれば、お得で快適な住まいになる可能性を秘めているのです。
1. なぜ?洗濯機が外置きの賃貸物件が存在する理由
そもそも、なぜ洗濯機を屋外に置く物件があるのでしょうか。その背景には、日本の住宅事情と洗濯機の進化の歴史が関係しています。
1-1. 外置きが「普通」だった時代の名残
今でこそ室内置きが主流ですが、かつては洗濯機を屋外に置くのが一般的でした。昔の洗濯機は性能が未熟で水漏れが多く、万が一の被害を抑えるために屋外設置が合理的だったのです。また、古い建物では室内に排水設備を整える技術が浸透していなかったことも理由の一つです。現在見かける外置き物件の多くは、こうした時代の名残がある、比較的築年数の古い物件ということになります。
1-2. 洗濯機置き場の主な場所は2タイプ
洗濯機の外置きスペースは、主に「ベランダ設置タイプ」と「共用廊下設置タイプ」の2つに分けられます。ベランダはプライベートな空間ですが、共用廊下は人目に触れやすいという特徴があり、それぞれ注意点が少しずつ異なります。
2. 【後悔する前に】洗濯機が外置きの7つのデメリット


多くの人が外置き物件を避けるのには明確な理由があります。契約してから後悔しないために、まずは7つのデメリットを把握しておきましょう。
2-1. デメリット①:洗濯機の寿命が縮みやすい(故障・劣化)
最大のデメリットは、洗濯機本体へのダメージです。雨風や直射日光に常にさらされることで、プラスチック部分の劣化やひび割れ、内部の錆び、ホコリの侵入による故障リスクが格段に高まります。また、ほとんどの洗濯機は室内使用が前提のため、屋外設置が原因の故障はメーカー保証の対象外となる可能性が高いです。
2-2. デメリット②:汚れやカビ・虫との戦いになる
屋外は砂ボコリや排気ガスで洗濯機本体がすぐに汚れます。また、洗濯後は槽内に湿気がこもりがちですが、雨やホコリを恐れてフタを閉めっぱなしにすると黒カビが繁殖しやすくなります。せっかく洗った衣類にカビ臭や汚れが付着しては本末転倒です。
2-3. デメリット③:洗濯のたびに外に出るのが苦痛になる
洗濯は毎日のように行う家事です。そのたびに外に出るのは想像以上にストレスを感じるもの。特に、部屋着のまま気軽に洗濯したいときでも、一度外に出られる格好に着替える必要があり、この一手間が面倒で洗濯を後回しにしがちです。
2-4. デメリット④:冬は凍結、夏は猛暑で洗濯できない日も
季節の影響を直接受けるのも辛い点です。冬は気温が氷点下になると給水ホースが凍結して洗濯機が使えなくなり、夏は炎天下の作業が重労働になります。天候に左右され、自分のタイミングで洗濯ができない可能性があります。
2-5. デメリット⑤:防犯面でのリスクが高い(盗難)
特に女性の一人暮らしでは、防犯面のリスクが見過ごせません。共用廊下や1階のベランダは不特定多数の目に触れやすく、洗濯中の衣類、特に下着などを盗まれるリスクがあります。洗濯機本体の盗難事例も報告されています。
2-6. デメリット⑥:洗濯機の騒音が近所迷惑になる可能性
外置きの場合、運転音や振動がダイレクトに外に響きます。特に脱水時の音は大きく、早朝や夜間の使用は近隣住民との騒音トラブルに発展しかねません。生活リズムが不規則な人は、洗濯できる時間帯が限られてしまいます。
2-7. デメリット⑦:洗い直しの手間が増える
洗濯物を取り出す際にうっかり地面に落とすと、砂や泥で汚れてしまい、もう一度洗い直しになるケースがほとんどです。この余計な手間と時間のロスも、地味ながらストレスの原因となります。
3. デメリットだけじゃない!洗濯機外置きの4つのメリット


デメリットばかりではありません。これらのメリットに大きな価値を感じるなら、外置き物件は「アリ」な選択肢になります。
3-1. メリット①:家賃が相場より安い傾向にある
最大のメリットは、何といっても家賃の安さです。外置き物件は人気が低く、築年数が古いことが多いため、同じエリアの室内置き物件に比べて家賃が安く設定されている傾向にあります。毎月の固定費を抑えたい人には非常に大きな魅力です。
3-2. メリット②:洗濯中の音が気にならず室内が静か
屋外に洗濯機があるため、室内にいれば運転音や振動はほとんど気になりません。在宅ワーク中やリラックスタイムに、洗濯機の音に邪魔されずに静かに過ごせるのは大きなメリットと言えるでしょう。
3-3. メリット③:洗濯から物干しまでの動線がスムーズ
ベランダに洗濯機が設置されている場合に限られますが、家事動線が非常にスムーズになります。洗い終わった洗濯物を、その場で物干し竿に干せるため、洗濯にかかる時間と労力を短縮できます。
3-4. メリット④:万が一の水漏れでも被害が少ない
最新の洗濯機でも水漏れの可能性はゼロではありません。室内で水漏れが起きると階下への浸水など大きな被害につながりますが、外置きであれば万が一水が漏れても屋外に流れるだけなので、室内への被害を心配する必要がありません。
4. 後悔しない!洗濯機外置き物件を快適にするための徹底対策


「家賃は魅力だけど、デメリットが心配…」という方のために、実践的な対策をご紹介します。工夫次第で、外置きのデメリットはかなり軽減できます。
4-1. 【必須対策】洗濯機カバーで劣化と汚れを防ぐ
最も重要で効果的な対策です。雨風や直射日光、ホコリから洗濯機本体を守る専用の洗濯機カバーを必ず使用しましょう。数千円で購入でき、劣化や故障のリスクを大幅に下げることができます。
4-2. 【季節別対策】冬の凍結・夏の熱対策
- 凍結対策: 気温が氷点下になりそうな夜は、事前に「水抜き」を行いましょう。蛇口を閉めてから1分ほど脱水運転するだけで、ホースや本体内部の水を排出できます。
- 熱対策: 洗濯機カバーに加えて、すだれやサンシェードで直射日光を避ける工夫をしましょう。本体の温度上昇を抑え、劣化を防ぎます。
4-3. 【日々のケア】こまめな掃除とカビ対策
定期的に本体を拭き掃除し、ホコリが溜まらないようにしましょう。また、洗濯槽のカビ対策として、市販の洗濯槽クリーナーを月1回程度使用して、清潔な状態を保つことが重要です。
4-4. 【防犯対策】盗難リスクを減らす工夫
洗濯物は終わったらすぐに室内に取り込むことを徹底しましょう。長時間放置しないことが一番の防犯対策です。本体の盗難が心配な場合は、ワイヤーロックなどで固定するのも一つの手です。
4-5. 【究極の対策】コインランドリーを活用する
そもそも「自宅に洗濯機を置かない」という選択肢もあります。外置きのデメリットが許容できない場合、家賃の安い外置き物件を選び、近くのコインランドリーをメインで利用するのも賢い方法です。
5. まとめ
洗濯機が外置きの物件は、多くのデメリットがある一方で、「家賃の安さ」や「室内の静粛性」といった無視できないメリットも存在します。一概に「やめとけ」と切り捨てるのではなく、自分のライフスタイルや価値観と照らし合わせて判断することが大切です。
もし外置き物件を選ぶのであれば、デメリットを正しく理解し、今回ご紹介した「洗濯機カバー」や「こまめな清掃」などの対策を講じることが不可欠です。物件探しは、何を優先し、何を妥協するかのバランスが重要です。