定期借地権マンションは価格が比較的安価で魅力的である一方、将来的に土地を返還する必要があるため、不安を感じる方もいるかもしれません。
確かに、定期借地権マンションは一般的な分譲マンションと比べて、土地の扱いが異なるため、特有のメリット・デメリットが存在します。購入後に後悔しないためには、事前にしっかりと理解しておくことが重要です。
1. 定期借地権マンションとは?仕組みとメリット・デメリットを理解しよう


1-1. 定期借地権マンションの仕組み:所有権ではなく利用権
定期借地権マンションとは、地主から一定期間土地を借りて建てられたマンションです。一般的な分譲マンションでは土地の所有権を取得できますが、定期借地権マンションでは土地の利用権しか得られません。契約期間満了後は、更地にして地主に土地を返還する義務があります。
1-2. メリット:初期費用を抑えて好立地に住める可能性
- 初期費用が安い:土地を購入しないため、分譲マンションよりも購入価格が抑えられます。
- 好立地物件が多い:地主が土地を手放したくない場合でも、定期借地権を設定することで土地活用できるため、駅近や商業施設周辺など、好立地にある物件が多い傾向があります。
- 固定資産税・都市計画税が安い:土地を所有しないため、土地にかかる固定資産税と都市計画税が不要です。
1-3. デメリット:契約満了後の不安と売却時の課題
- 契約満了後の住居確保:契約期間満了後は、住居を移転する必要があります。高齢になった際の住み替えは負担が大きくなる可能性があります。
- 売却価格の下落:契約期間が短くなるにつれて、売却価格が下落する傾向があります。残存期間が短いと買い手がつきにくくなる可能性も。
- 住宅ローンの制約:借地期間がローンの返済期間より短い場合、ローンが組めない、または借入額が制限されることがあります。
- 地代・解体積立金の負担:地主に地代を支払う必要があり、さらに将来の解体費用として解体積立金を積み立てる必要があります。
2. 後悔する前に…定期借地権マンションの失敗例
2-1. 契約満了後の住み替えに苦労…高齢期の負担を甘く見ていた
たとえば、70代で定期借地権マンションの契約満了を迎えた場合、高齢のため新たな住居探しや引っ越しがしずらいことがあります。賃貸物件の審査に通りにくく、希望するエリアの分譲マンションは価格が高く手が出せない状況に陥るかもしれません。
2-2. 売却価格が予想以上に低く、ローン残債が残ってしまった
50代で売却を検討した場合、残存借地期間が短くなったことで、売却価格が購入時よりも大幅に下落。住宅ローンの残債を完済できず、追加で資金を用意する必要が生じる可能性があります。
2-3. 地代の値上げで家計が圧迫…将来的なリスクを見誤った
当初は地代が安かったが、周辺地域の地価上昇に伴い、地代が値上げされるケースもあります。想定外の支出増加により、家計が圧迫される場合もあります。
3. 定期借地権マンションで満足できるケースとは?


3-1. 期間限定の住まいと割り切って購入…ライフプランに合致
たとえば、単身赴任で5年間限定で住む予定で、定期借地権マンションを購入。初期費用を抑え、好立地に住むことができす。契約満了後は予定通り住み替え。
3-2. 投資目的で購入…利回りを重視
投資目的で定期借地権マンションを購入。購入価格が安いため、高い利回りを確保ができ、売却益は期待できませんが、賃料収入を安定的に得られます。
4. 購入前に確認すべき5つのポイント
4-1. 借地期間:自分のライフプランと照らし合わせよう
契約満了時、あなたはいくつですか?その時に住み替えは可能ですか?将来のライフイベントも考慮して、借地期間が適切かどうかを判断しましょう。
4-2. 地代:将来的な値上げの可能性も考慮しよう
現在の地代だけでなく、将来的な値上げの可能性についても確認しましょう。地代の改定時期や改定方法が契約書に明記されているかを確認することが重要です。
4-3. 解体積立金:金額と積立方法を確認
解体積立金の金額と積立方法(毎月、一括など)を確認しましょう。解体費用は高額になる場合もあるため、事前にしっかりと把握しておくことが大切です。
4-4. 売却条件:将来の売却可能性を検討
定期借地権マンションの売却は、一般的な分譲マンションよりも難しい場合があります。売却時の条件や注意点について、不動産会社に相談してみましょう。
4-5. 住宅ローン:借入条件を確認
定期借地権マンションでは、住宅ローンの借入条件が厳しくなる場合があります。借入期間や借入額、金利などについて、複数の金融機関で比較検討しましょう。
5. まとめ:定期借地権マンションは「誰にとっても良い」わけではない


定期借地権マンションは、初期費用を抑え好立地に住めるというメリットがある一方、契約満了後の住み替えや売却時の価格下落など、デメリットも存在します。
購入を検討する際は、メリット・デメリットを理解した上で、自分のライフプランや資金計画に合致するかどうかを慎重に判断することが重要です。「安さ」だけで飛びつくのではなく、長期的な視点で検討しましょう。