マンションの24時間換気システムとは?義務化の背景から仕組みについて

不動産知識
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不動産広告等で「24時間換気システム」という言葉をよく見かけますよね。
実は、2003年以降の建築物には「24時間換気システム」の設置が法律で義務化されている設備なのです。

一日中ずっと換気するシステムということは名称からわかると思いますが、なぜ24時間も換気する必要があるのか、実際には設置の目的や仕組みをわかっていない方がほとんどかと思います。

また、昨今はコロナ禍における感染対策の一つとして非常に重要視されているため、住まいにおける換気についてはきちんと知っておきたいですよね。

今回は、「24時間換気システム」について、設置されるようになった背景から、仕組みや種類ついて具体的に解説していきます。

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1. 24時間換気システムの概要と設置の目的

まず、24時間換気システムとは何か、なぜ設置を義務化するようになったのか、その背景についても詳しく見ていきましょう。

1-1. 24時間換気システムとは

24時間換気システムとは、簡単に言うと機械を使って「給気」と「排気」を24時間行い、空気の入れ替え・循環を行う仕組みのことを指します。24時間換気システムを設置することで、窓を開けなくても常に室内の空気を綺麗に保つことができるため、私たちの健康を守るために非常に重要な設備であると言えます。

1-2. 24時間換気システムの設置がなぜ義務化されたのか

「24時間換気システム」は、2003年7月の改正建築基準法が施行され、それ以降建築されるすべての建物に24時間換気システムを設置することが原則義務化されました。
義務化に至った主な背景とは「シックハウス症候群」です。

シックハウス症候群とは、住宅に使用されている建材や家具、日用品などから発散されるホルムアルデヒトなどの化学物質によって引き起こされる健康被害のことを言います。主に、頭痛や鼻水、のどの痛みといった症状が一般的です。

風通しのよい昔の日本家屋とは対照的に、近年の住宅は冷暖房を効率的に使用するため気密性が高く作られています。そのため、意識的に空気の入れ替えを行わなければ汚れた空気が室内にこもってしまい、有害な化学物質も外に排出されません。また、高気密な住宅は湿度も高くなるため、カビやダニなどの繁殖にもつながり健康にも影響を与えます。

そうした背景から、改正建築基準法において、シックハウス症候群対策として建築物に使用する建材や換気設備の規制を導入。その対策の一つとして住居内の空気を常にきれいに保つことを目的に、原則すべての建築物に機械換気設備の設置が義務付けられたのです。

なお、住宅においては、換気回数0.5回/h以上(1時間当たりに部屋の空気の半分が入れ替わること)の機械換気設備を設置する必要があると定められおり、この基準をクリアするのがいわゆる24時間換気システムになります。

参考: 国土交通省 改正建築基準法

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2. 24時間換気システムの仕組み

では、24時間換気システムはどんな仕組みで給気と排気を行っているのか、具体的に見ていきましょう。

2-1. 24時間換気システムと換気扇との違い

24時間換気システムというと、キッチンやお風呂の換気扇についている換気扇をイメージする方が多いと思いますが、これらはそもそもの使用目的が異なります。

キッチン等に設置されている換気扇は「局所換気」と言い、その名称のとおりその場所で発生するガスや水蒸気といった換気を行う目的で設置されます。それに対して、24時間換気システムは「常時換気」と言い、お部屋全体の空気をゆっくりと入れ替え・循環を行う目的で設置されるものになります。

2-2. 24時間換気システムの仕組み

換気扇との違いでもお伝えしたように、24時間換気システムはお部屋全体の換気を行うものです。そのため、居室から浴室や洗面等へ空気が流れる換気経路を形成する必要があります。

リビングダイニングや寝室といった居室の外に面した壁に給気口を設置することで外の新鮮な空気を取り込み、浴室やトイレ、洗面等の排気口から室外へ排気するといった空気の流れをつくる。これが24時間換気システムで行う換気の仕組みです。

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3. 24時間換気システムの3種類の換気方法~特徴とメリット・デメリット

24時間換気システムには3つの種類の換気方法があります。それぞれの特徴とメリット・デメリットを見てみましょう。

3-1. 第一種換気方式

第一種換気方式は、外気の「給気」と室内の空気の「排気」の両方を換気扇等の機械によって行うもの。
メリットとしてはすべて機械で行うことによって、空気の流れを制御しやすいという点ですが、3つの換気方法の中で最もランニング費用が掛かってしまうということはデメリットと言えます。

3-2. 第二種換気方式

第二種換気方式は、外気の「給気」を機械で行い、「排気」は自然に任せて行うというもの。
外気を機械によって強制的に入れることによって室内の気圧が上がり、上昇した気圧が下がろうとする自然の働きを利用して、空気が外へ排気されやすくなるという仕組みです。

この仕組みの特徴から工場や病院の手術室、無菌室のようなクリーンルームでよく採用される換気方法で、住宅の場合は結露が発生する可能性が高いため、採用されるケースは少ないそうです。

3-3. 第三種換気方式

第三種換気方式は、外気の「給気」を自然に任せて、室内の空気の「排気」を換気扇等の機械で行うというもの。
第一種換気方式よりもコスト面でもメリットがありますし、排気を強制的に行うため結露が発生しづらいというメリットがあり、高気密・高断熱の近年の住宅には最も適した換気方式と言えます。

デメリットとしては、空気を自然に室内に流れ込ませるようにするために、すべての居室の給気口を設置する必要があるということです。
気密性の低い日本家屋の場合は、寒さが厳しくなり暖房費が上がってしまう場合もあります。

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4. まとめ

今回は、マンションの24時間換気システムについて詳しく解説してきました。
人は一日に約1万5,000リットル以上の空気を吸い込むと言われています。

そのため、水や食事だけではなく、綺麗な空気の中で生活することは自分や家族の健康を守るためにも非常に重要です。特に気密性の高いマンションにおいては、24時間換気システムは大切な設備だと言えるでしょう。