都市計画法とは?概要から都市計画の内容をわかりやすく解説!

不動産知識
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不動産広告の物件概要に、「用途地域」の記載があるのは皆さんご存じですよね。この「用途地域」は「都市計画法」で定められているもので、土地利用の用途や制限のことを指します。

あまり意識していないという方も多いかと思いますが、実は住まい選びにも関わる重要な要素と言えます。私たちが普段何気なく生活している街も都市計画法のもとに整備されており、みんなが暮らしやすい街づくりを行う上で非常に重要なルールなのです。

今回は、「都市計画法」の概要から具体的な内容までわかりやすく解説していきます。

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1. 都市計画とは

そもそも「都市計画」とは、何でしょうか。

「都市計画法」には、「都市の健全な発展と秩序ある整備を図るための土地利用、都市施設の整備及び市街地開発事業に関する計画」と記載されています。つまり、みんなが快適に暮らすことのできる都市のあるべき姿を実現するための方法や手段が「都市計画」ということです。

例えば、どんな場所にも好き勝手に建物を建てていいということになれば、駅前に工場が建設されたり、住宅街に大きな商業ビルが建つこともあるでしょう。また住宅があちこちに点在して建てられることも。

そうなれば、街の環境に影響を及ぼすだけでなく、効率的に福祉サービスが行き届きづらくなります。そうならないためには、都市計画が必要ということですね。

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2. 都市計画法の概要

都市計画法は、1969年に施行されました。当時は戦後の高度経済成長期で無秩序な施設の建設や市街地化が行われて問題となっており、正しい都市計画のためのルールづくりが急務となっていました。

それが「都市計画法」制定の背景にあります。そして制定後も時代にあわせて改定が行われています。

都市計画法で定められている主な内容は、①まちづくりをする場所を決める都市計画に関する基本方針、②土地利用に関する具体的なルール、③道路や公園、下水道などの都市施設の整備、④建物の整備や再開発といった市街地開発事業に関するものです。

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3. 都市計画の構造と内容

では、都市計画の構造と内容について詳しく見ていきましょう。

3-1. まちづくりを行うエリア「都市計画区域」を決める

まず、都市計画の最も大きな方針として、都市としてのまちづくりを行うエリア「都市計画区域」を指定します。効率的な街づくりを行うため土地や建物の使い方のルールを設けるエリアということですね。

そして、都市計画区域に指定されないエリアは「都市計画区域外」と言い、街づくりは行われないため建物や土地のルールのないエリアとなります。都市計画区域外でも、一部のエリアでは開発を勝手にされないように、ある程度のルールを設けるエリアがあり、それは「準都市計画区域」として定められます。

これで都市計画を行う上での大枠が決まります。

ちなみに、都市計画区域は市や県の境界とは関係なく指定できるため、二つの県にまたがって指定されることもあります。その場合、一つの都道府県内に指定する場合は都道府県が指定し、二つの都道府県にまたがる場合は国土交通大臣が指定することになります。

3-2. 「市街化区域」を線引きする

都市計画区域が決まったら、その区域内をさらに線引きしていきます。

都市計画区域内で、より積極的に市街化を図るエリア「市街化区域」とそうではないエリアに分けていきます。詳細は下記のとおりです。

「市街化区域」・・すでに市街地である、または今後10年以内に市街化が図られる区域
「市街化調整区域」・・市街化が抑制される区域
「非線引き区域」・・特に何も定めない区域

なお、この区域区分は三大都市圏や政令指定都市では区分されることとされていますが、人口50万人のエリアでは区域区分は定めなくても良いとされています。

3-3. 「地域地区」を定める

線引きした都市計画区域内の具体的な土地利用の用途やルールを定めるのが「地域地区」です。皆さんが不動産広告の概要で目にする「用途地域」も地域地区の一つで、地域地区は全部で21種類あります。

1.用途地域
2.特別用途地区
3.特定用途制限地域
4.特例容積率適用地区
5.高層住居誘導地区
6.高度地区・高度利用地区
7.特定街区
8.都市再生地区
9.防火地域・準防火地域
10.特定防災街区整備地区
11.景観地区・準景観地区
12.風致地区
13.駐車場整備地区
14.臨港地区
15.歴史的風土特別保存地区
16.第一種歴史的風土保存地区・第二種歴史的風土保存地区
17.特別緑地保全地区
18.流通業務地区
19.生産緑地地区
20.伝統的建造物群保存地区
21.航空機騒音障害防止地区・航空機騒音障害防止特別地区

3-5. 「用途地域」を定める

用途地域は、土地利用の用途により住宅地、商業地、工業地の3つに分けられ、さらに建築できる建物の種類等細かく規制するため細かく13種類の地域に分類されています。

ちなみに、用途地域は都市計画法で定められていますが、用途制限に関する建物の規制内容については建築基準法に定められています。

用途地域は下記の通りです。

  • 住居系用途地域

「第一種低層住居専用地域」「第二種低層住居専用地域」「第一種中高層住居専用地域」「第二種中高層住居専用地域」「第一種住居地域」「第二種住居地域」「準住居地域」「田園住居地域」

  • 商業系用途地域

「近隣商業地域」「商業地域」

  • 工業系用途地域

「準工業地域」「工業地域」「工業専用地域」

※ 用途地域の詳細については、「用途地域とは?不動産購入の際に役立つ13種類の特徴を一覧で解説」をご覧ください。

3-6. 「地区計画」を定める

地区計画とは、より小さなエリアで指定される都市計画上の制限で、それぞれの地区の特性に応じて定められるものです。住民等の意見を反映し、道路、公園、広場などの地区施設の配置や建築物の規制、緑地の保全などの詳細なルールを定めます。

3-7. 都市施設の整備

都市施設とは、良好なまちづくりのためになくてはならない共同の施設のこと。具体的には道路や公園、上下水道・ガス・電気、学校や図書館、病院、ごみ焼却場などが該当します。

都市計画で都市施設の整備が決定され、その指定区域内に建築規制が及びます。

3-8. 市街地開発事業

市街地開発事業とは、ここまでご説明してきた「地域地区」や「地区計画」とは異なり、事業という形式によってより積極的なまちづくりを行っていく手法のことを言います。代表的な事業には「土地区画整理事業」や「市街地再開発事業」などがあります。

こちらも都市施設同様に、都市計画で決定され、その指定区域内に建築規制が及びます。

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4. まとめ

今回は、都市計画法の大まかな内容について詳しく解説してきました。私たちが何気なく生活している都市は、都市計画法によって整備されているものだということがお分かりいただけたと思います。

これから住まいを購入する際にも不動産基礎知識として理解しておくと良いでしょう。