不動産登記の基礎:表示登記・保存登記の違いと重要性

不動産知識
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家を新築したり、土地を購入したりすると、必ず必要になるのが不動産登記です。中でも「表示登記」と「保存登記」は特に重要ですが、違いや手続きがわかりにくいという方も多いでしょう。

この記事では、表示登記と保存登記の違いから、手続きの流れ、費用相場、自分で申請する方法までを、3分で理解できるようにわかりやすく解説します。スムーズな不動産登記のために、ぜひ最後までお読みください。

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1. 表示登記とは?~不動産の「戸籍」

1-1. 表示登記の概要と目的

表示登記とは、不動産の物理的な情報を記録する登記です。土地の所在、地番、地目、地積や、建物の所在、家屋番号、種類、構造、床面積などが登記されます。

目的は、不動産を特定し、現況を公示し、権利登記の基礎とすること。不動産の「戸籍」のような役割です。

1-2. どんな時に必要?

主に以下のケースで必要になります。

  • 建物を新築した場合
  • 土地を新たに造成した場合
  • 建物を増築・改築した場合
  • 土地の地目を変更した場合
  • 土地を分筆・合筆した場合

1-3. 申請義務と期限

表示登記は不動産登記法で義務付けられており、建物を新築した場合、所有権取得から1ヶ月以内に申請が必要です。怠ると10万円以下の過料が科せられる可能性があります。

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2. 保存登記とは?~不動産の「権利証」

2-1. 保存登記(所有権保存登記)の概要と目的

保存登記とは、不動産の所有者を明確にする登記です。正式には「所有権保存登記」といいます。

目的は、所有権を公示し、第三者に対抗するための要件とし、権利変動を記録すること。不動産の「権利証」のような役割です。

2-2. どんな時に必要?

主に以下のケースで必要になります。

  • 表示登記が完了した不動産について、初めて所有権の登記を行う場合
  • 相続によって不動産の所有権を取得した場合
  • 贈与によって不動産の所有権を取得した場合

2-3. 申請義務と必要性

保存登記は申請義務はありません。しかし、所有権を第三者に主張するには不可欠です。不動産を売却する、住宅ローンを利用する際には必須となります。

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3. 表示登記と保存登記の違いを比較

項目表示登記保存登記
目的不動産の物理的な状況を明らかにする不動産の所有権を明らかにする
申請義務ありなし
専門家土地家屋調査士司法書士
登記場所登記事項証明書の「表題部」登記事項証明書の「権利部(甲区)」

それぞれの登記が重要な場面

相続や贈与で不動産を取得した時: 取得した不動産の所有権を明確にし、将来的な権利関係の紛争を防ぐために重要です。

表示登記が特に重要な場面:

建物を新築した時: 新たに存在することになった建物の情報を公的に記録し、登記簿の基礎を作ります。これにより、建物の所在地や大きさなどが明確になり、後の権利登記(保存登記や抵当権設定登記など)が可能になります。

土地を新たに造成した時、地目を変更した時、分筆・合筆した時: 土地の物理的な状況が変わった際に、その変更内容を登記簿に反映させることで、土地の現況を正確に示し、取引や管理の基礎となります。

保存登記(所有権保存登記)が特に重要な場面:

不動産を購入した時(新築・中古問わず): 不動産の所有者として、自身の権利を公的に主張するために行います。保存登記を行うことで、第三者に対して自分がその不動産の所有者であることを明確に示すことができます。

不動産を売却する時: 買主に対して所有権を移転するために、事前に保存登記がされていることが前提となります。

住宅ローンを利用する時: 金融機関は、不動産に抵当権を設定する際に、所有者が明確になっていることを確認するため、保存登記が完了していることを融資の条件とすることが一般的です。

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4. 表示登記・保存登記の手続きと必要書類

4-1. 表示登記の手続き

  1. 土地家屋調査士への依頼
  2. 資料収集・調査
  3. 測量(必要に応じて)
  4. 申請書類の作成
  5. 登記申請
  6. 登記完了

必要書類

  • 登記申請書
  • 建築確認通知書
  • 工事完了引渡証明書
  • 所有者の住民票
  • 委任状(依頼する場合)
  • 建物図面、各階平面図(建物の新築の場合)
  • 地積測量図(土地の地目変更・分筆の場合)

4-2. 保存登記の手続き

  1. 司法書士への依頼
  2. 資料収集
  3. 申請書類の作成
  4. 登記申請
  5. 登記完了

必要書類

  • 登記申請書
  • 所有者の住民票
  • 所有者の印鑑証明書
  • 表示登記完了後の登記事項証明書
  • 固定資産評価証明書
  • 委任状(依頼する場合)

5. 費用相場

5-1. 表示登記の費用相場

  • 建物の表題登記: 8万円~15万円程度
  • 土地の地目変更登記: 5万円~10万円程度
  • 土地の分筆登記: 15万円~30万円程度

5-2. 保存登記の費用相場

  • 登録免許税: 固定資産評価額 × 税率(通常0.4%、軽減税率適用で0.15%)
  • 司法書士報酬: 3万円~5万円程度

6. 自分でできる?

6-1. 表示登記

専門知識や測量技術が必要なため、複雑なケースでは土地家屋調査士に依頼するのが一般的です。比較的簡単な地目変更登記であれば、自分で申請することも可能です。

6-2. 保存登記

表示登記に比べ手続きが簡単なので、自分で行うことも可能です。法務局のホームページで申請書をダウンロードできます。

7. まとめ~不動産登記は大切な財産を守るために~

表示登記は不動産の物理的な情報を、保存登記は所有権を明らかにするために行う登記です。表示登記は義務、保存登記は任意ですが、不動産を有効活用するためには不可欠な手続きです。

専門家に依頼する費用がかかりますが、自分で申請することも可能です。大切な財産を守るために、正確な知識を持って、スムーズな手続きを行いましょう。

FLIE magazine 編集部

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