わかりやすく解説!抵当権の仕組み・メリット・デメリット

不動産知識
この記事は約5分で読めます。

家を買うのは人生における大きなイベントです。そして、多くの人が住宅ローンを利用して家を購入します。住宅ローンを組む際に必ず出てくる言葉が「抵当権」です。「抵当権」って一体何だろう? 漠然とした不安を感じる方もいるかもしれません。この記事では、抵当権の仕組みからメリット・デメリット、設定・抹消の手続きまで、専門用語をなるべく使わずにわかりやすく解説します。住宅ローンを検討中の方や、既に住宅ローンを組んでいる方も、ぜひ最後まで読んで理解を深めてください。

スポンサーリンク

1. 抵当権の基本的な仕組み

1-1. 抵当権とは?

簡単に言うと、抵当権とは、住宅ローンなどの借入金を返済できなくなった場合に、金融機関が不動産を売却して返済に充てる権利のことです。

例えば、あなたが住宅ローンを組んで家を買うとします。この時、あなたの家が担保となり、抵当権が設定されます。もし、あなたがローンを返済できなくなってしまった場合、金融機関は抵当権に基づいて家を売却し、その売却代金から未返済のローンを回収するのです。

1-2. 担保と抵当権の違い

「担保」と「抵当権」は混同されがちですが、厳密には違います。

  • 担保:借入金の返済を確実にするために提供される財産のことで、不動産以外にも、車や預金なども担保になり得ます。
  • 抵当権: 担保の中でも特に不動産に設定される権利のことです。

1-3. 抵当権を設定するメリット

抵当権は、金融機関と借主の双方にとってメリットがあります。

金融機関側のメリット

  • 貸し倒れリスクの軽減:借主が返済できなくなっても、担保となる不動産を売却することで、貸したお金を回収できる。

借主側のメリット

  • 低金利での融資:金融機関は、担保があることで安心して融資できるため、無担保ローンよりも低い金利で融資してくれる。
  • 高額融資:担保があることで、より多くの金額を借りることができる。

1-4. 抵当権を設定するデメリット

抵当権を設定することによって、借主は以下のリスクを負うことになります。

  • 不動産を失うリスク:返済が滞った場合、不動産が差し押さえられ、競売にかけられる可能性がある。最悪の場合、家を失ってしまう。
  • 費用が発生する:抵当権の設定・抹消には、登録免許税や司法書士への報酬などの費用が発生する。
スポンサーリンク

2. 抵当権の種類

2-1. 通常の抵当権

一般的な住宅ローンで設定されるのが、この通常の抵当権です。1つのローンに対して1つの抵当権が設定され、そのローンを完済すれば抵当権は消滅します。

2-2. 根抵当権

根抵当権は、極度額(上限金額)の範囲内であれば、何度でも借入と返済を繰り返せる抵当権です。事業資金の融資などで利用されることが多く、一般の住宅ローンではあまり使われません。

根抵当権は、借入金を全額返済しても自動的には消滅せず、債権者と債務者の合意が必要となります。

スポンサーリンク

3. 抵当権の設定と抹消

3-1. 抵当権の設定手続き

抵当権の設定は、金融機関と住宅ローン契約を結ぶのと同時に、司法書士によって行われます。必要書類を揃えて法務局に申請することで、不動産の登記簿に抵当権が登録されます。

3-2. 抵当権設定に必要な書類

  • 登記識別情報(不動産の権利証)
  • 印鑑証明書
  • 委任状
  • その他、金融機関が指定する書類

3-3. 抵当権設定にかかる費用

  • 登録免許税:借入金額 × 0.4%(特例措置あり)
  • 司法書士報酬:3万円~8万円程度
  • その他、書類取得費用など

3-4. 抵当権の抹消手続き

住宅ローンを完済したら、抵当権の抹消手続きが必要です。抵当権抹消登記をしないと、不動産を売却する際に支障が出たり、新たなローンを組むのが難しくなる場合があります。

抹消手続きも司法書士に依頼するのが一般的です。金融機関から送られてくる必要書類を揃えて、法務局に申請します。

3-5. 抵当権抹消に必要な書類

  • 抵当権抹消登記申請書
  • 登記識別情報
  • 登記原因証明情報
  • 資格証明情報
  • 金融機関の委任状

3-6. 抵当権抹消にかかる費用

  • 登録免許税:1筆につき1,000円
  • 司法書士報酬:1万円前後
  • その他、書類取得費用など
スポンサーリンク

4. 抵当権に関するQ&A

4-1. 抵当権付きの住宅を売却できる?

抵当権がついていても住宅を売却することは可能です。ただし、売却代金で住宅ローンを完済し、抵当権を抹消する必要があります。

4-2. 抵当権付きの住宅を相続できる?

抵当権付きの住宅も相続できます。ただし、住宅ローンも相続するため、相続人は残りのローンを返済する義務を負います。

4-3. 住宅ローンを滞納したらどうなる?

住宅ローンの返済が滞ると、金融機関から督促状が届きます。それでも返済できない場合は、最終的に抵当権が実行され、住宅が競売にかけられる可能性があります。

競売とは?

競売とは、裁判所が債権者の申立てにより、債務者の不動産を強制的に売却する手続きです。競売では、一般的に市場価格よりも低い価格で売却されるため、借主は多額の借金が残ってしまうケースもあります。

競売を避けるには?

競売を避けるためには、金融機関と相談して任意売却を検討する方法があります。任意売却とは、債権者の合意を得て、不動産を市場価格で売却する手続きです。競売よりも高値で売却できる可能性が高く、借金の負担を軽減できる場合があります。

5. 抵当権と保証人の違い

抵当権は「物」を担保にするのに対し、保証人は「人」を担保にする制度です。保証人は、借主がローンを返済できなくなった場合、代わりに返済する義務を負います。

6. 抵当権に関するトラブル事例

抵当権に関するトラブルは、近年増加傾向にあります。例えば、以下のような事例が挙げられます。

  • 不動産を購入する際、売主が抵当権を抹消していなかったため、所有権移転登記ができなかった。
  • 抵当権の設定・抹消手続きを悪質な司法書士に依頼した結果、多額の費用を請求された。

トラブルを避けるためには、信頼できる不動産会社や司法書士に依頼することが大切です。

7. まとめ

抵当権は、住宅ローンを組む上で重要な仕組みです。メリットとデメリットを理解し、返済計画をしっかり立てることが大切です。また、住宅ローンを完済したら、速やかに抵当権の抹消手続きを行いましょう。

この記事で解説した内容は一般的な情報であり、個別のケースについては専門家にご相談ください。

FLIE magazine 編集部

お客様の”住みたい”気持ちを形にしたい!
確かな情報で安心、かつ納得した上で不動産取引が出来ることを目指し、不動産・リノベーション・暮らしの情報を発信しています。

FLIE magazine 編集部をフォローする
不動産知識
スポンサーリンク
FLIE magazine