所有権移転登記に必要な費用はどのくらい?相場から手続きの方法

不動産知識
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不動産売買の際に必要な手続きの一つに所有権移転登記があります。なんとなく、イメージはついても、実際にどんな内容のもので、どのくらいの費用が掛かるものなのかよくわからないとう方がほとんどではないでしょうか。
今回は、所有権移転登記について、内容から必要な費用、そして手続きについても詳しく解説していきます。

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1. 所有権移転登記とは

まず、所有権移転登記についてご説明する前に、不動産登記とは何かについて簡単に見ていきましょう。
不動産登記は、不動産(土地及び建物)の所在地や面積の他、誰が所有者しているのかといった権利状況を帳簿(登記簿)に記録し、誰もが見ることのできるようにすることを言います。不動産取引が安全に行われるために重要な役割を果たすものです。

そのため、不動産売買が行われて所有者が変更になった際には、不動産登記上の所有者を変更する必要があります。それが、所有権移転登記です。

売買契約を結んで引き渡しを受けても、所有権移転登記を行わなければ登記は変更されません。所有権移転登記は義務ではありませんが、登記を行わなければ第三者に対抗することができないと民法でも規定しているように、トラブルに巻き込まれないためにも必ず所有権移転登記を行いましょう。

なお、不動産登記は、法務局の登記所で申請を行い、専門知識を持つ登記官が記録を行います。

参考: 法務省:不動産登記のABC

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2. どんな時に所有権移転登記が必要か

所有権登記申請は、不動産売買で所有権が移転した際に必要になることは先述しましたが、その他にも相続や贈与、離婚等での財産分与といった場面でも必要になります。
不動産の所有者が変更になる際には、必ず所有権移転登記が必要になることを覚えておきましょう。

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3. 所有権移転登記に必要な費用

では、所有権移転登記に掛かる費用について具体的に見ていきましょう。

3-1. 登録免許税

所有権移転登記には、まず登録免許税が掛かります。

登録免許税の税率は、所有権移転登記の理由(売買・相続・贈与・財産分与)によって異なるため注意しましょう。

中古住宅の売買の場合、建物と土地それぞれの固定資産評価額に2%の税率を掛けたものが登録免許税になります。

なお、建物は2024年3月31日まで※、土地は2026年3月31日まで軽減税率が適用されるため、実際の税率は建物が0.3%、土地は1.5%となります。

相続の場合は、建物・土地それぞれに0.4%の税率、その他の理由の場合は2%の税率となり、こちらは軽減税率の対象にはなりません。

※特定認定長期優良住宅、認定低炭素住宅、特定の増改築等がされた住宅用家屋については、さらに税率が軽減されます。

参考: 登録免許税に関する資料 : 財務省

参考: 令和5年4月1日以降の登録免許税に関するお知らせ : 法務局

参考: 登録免許税の税率の軽減措置に関するお知らせ : 国税庁

3-2. 申請に必要な書類取得のための費用

所有権移転登記の申請を行う際には、書類を取得する必要があります。大きな金額ではありませんが、必要書類の種類も含め把握しておきましょう。

必要書類は、所有権移転登記の理由が相続かそれ以外かによって準備するものが異なります。それぞれのパターンの必要書類から見ていきましょう。

売買、贈与、財産分与の際の必要書類

不動産を取得する側と譲る側、それぞれで用意するものが異なります。

取得する側(買主/贈与・分与を受ける側)が用意する書類
  • 登記原因証明情報(売買契約書、贈与契約書、離婚日記載の戸籍謄本等)
  • 住民票(有効期限なし)
  • 委任状(自分で手続きを行う場合は不要)
  • 身分証明書
  • 印鑑証明書(不動産購入のためにローンを使い、抵当権設定登記が必要になる場合)
譲る側(売主/贈与・文書する側)が用意する書類
  • 登記済証または登記識別情報通知書
  • 印鑑証明書(発行日から3か月以内)
  • 固定資産評価証明書
  • 委任状(自分で手続きを行う場合は不要)
  • 身分証明書

相続の場合

相続の場合は、下記の必要書類の準備が必要です。

  • 相続人全員分の住民票
  • 相続人全員分の戸籍謄本
  • 被相続人の戸籍の附票、もしくは住民票除票
  • 固定資産評価証明書
  • 家系図
  • 相続人の印鑑証明書(法定相続または遺産分割の場合)
  • 遺産分割協議書(法定相続または遺産分割の場合)
  • 遺言書、検認調書(遺言による相続の場合)
  • 委任状(自分で手続きを行う場合は不要)
  • 身分証明書

証明書類関係の取得費用は、300~500円程度のため、それほど大きな金額にはなりません。登記済証も不動産取得の際に発行されるものですから、用意するのに費用は掛かりません。ただし、紛失した際は司法書士に再発行の依頼が必要になるため費用も約10万円程度かかることもあります。重要な書類になるため、無くさないよう大切に保管しておきましょう。

相続の場合は、相続人全員の住民票、戸籍謄本の取得が必要になる点、相続の内容により準備する書類が異なることも注意しておきましょう。

3-3. 司法書士報酬

不動産売買においては、一般的に不動産仲介会社を介して不動産売買契約を締結し、司法書士が立ち会って所有権移転登記が行われます。その他相続や贈与等についても、準備する必要書類が多く、作成する内容にも専門知識が必要となるため、登記のプロである司法書士に依頼する場合がほとんどです。

司法書士に依頼する際には、登録免許税や各種証明書類取得の実費の他、報酬を支払うことになるため、所有権移転に必要な費用として見ておく必要があります。
報酬額はそれぞれの事務所で自由に設定することができ、明確に決められた額は存在しないというのが実際のところです。
依頼する内容や作業量によっても異なるため一概は言えませんが、司法書士報酬についてのアンケートによると、4~7万円程度(固定資産税評価額1000万円の場合)という結果が出ていました。相場価格として参考にしてみると良いでしょう。
司法書士の費用は見積りが可能なため、インターネットで検索して複数の事務所に依頼し、費用を比較することをおすすめします。

参考: 日本司法書士会連合会 報酬アンケート結果

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4. 所有権移転登記の手続き

少しでも費用を抑えたいという方は、ご自身で手続きを行うことも可能です。
所有権移転登記の手続きについて簡単にご説明します。

まず、申請に必要な書類の準備を行います。登記申請書を法務局のホームページからダウンロードし必要事項を記入しましょう。
そして、必要書類を揃えて申請書とともに法務局に提出します。提出は窓口でもオンラインもしくは郵送でも可能です。書類の記入等に不安がある場合は、窓口事前に確認してもらうのがおすすめです。
その後は提出書類の審査が行われ(1~2週間程度)、完了後法務局で登記事項証明書を受け取って終了です。

5. まとめ

今回は、不動産売買や相続等で必要となる所有権移転登記について、費用や手続きに必要となる書類等についてご説明してきました。こうした機会は頻繁にあるものではありませんが、実際に行う場面になって困らないように、あらかじめ必要な費用や書類について把握しておくと良いでしょう。また、司法書士に依頼せず、ご自身で所有権移転登記をされるという場合は、実際の作業量と司法書士に依頼する場合のコストを比較して検討されると良いでしょう。