近年、マンションに住む方は増加傾向にあります。その中には、外部からの騒音や生活音などに悩まされている方もいるでしょう。
騒音トラブルを避けるためには、防音性が高いマンションに住む必要があります。特に楽器の演奏やペットの飼育は近隣に迷惑をかけてしまう可能性があるため、防音室付きのマンションに住むのが良いでしょう。
そこで今回は、防音室があるマンションのメリットやデメリット・防音性を高める方法をご紹介していきます。これから住まい探しをする方はもちろん、すでに騒音問題に悩んでいる方はぜひ役立ててみてください。
1. 防音室があるマンションに住むメリット
防音室があるマンションに住むメリットはどこにあるでしょうか。防音室の魅力を知っていくには、防音の機能を把握しておく必要があります。
防音室の魅力をしっかりと押さえ、物件探しで役立てていきましょう。
1-1. 遮音性が高まる
防音室があるマンションは、遮音性が高い特徴があります。「遮音」とは、空気中を伝搬する音波を遮ることです。
遮音材に音波が入射すると一部が反射され、残りは吸収・透過することで減衰していきます。室内の音が外部に漏れる心配がなくなるため、近隣を気にせずに生活できるでしょう。
1-2. 吸音できる
吸音性があることも防音室のメリットです。「吸音」とは、素材に音が通過する際に摩擦で音が熱に変換されて減衰する現象を指します。
グラスウールやロックウール・フェルト・石綿板などが吸音材として使用されるため、それらが導入されている防音室では音を吸収することが可能です。
1-3. 耐震性が上がる
防音室は耐震性を高められるのも特徴です。構造物や設備に振動・衝撃が行き渡るのを防ぐ「防振」が優れている空間では、耐震性が強化されます。
地震など災害時の備えを入念にしておきたい方は、防音室があるマンションに住むと良いでしょう。より強度の高い空間となるため、長く安心して住み続けられます。
1-4. 断熱性がアップする
気密性がある防音室では、断熱性も高められます。気密性や断熱性が優れている空間は、室内の空気が外部に逃げるのを防ぎます。
外気も室内に侵入しにくくなるため、室温を一定に保ちやすくなるでしょう。一年を通して室温が安定するため、より快適な暮らしができます。
1-5. 趣味を楽しめる
このような機能がある防音室では、楽器演奏や映画鑑賞などさまざまな趣味を楽しめます。好きな時間に好きな音量を出せるため、周囲を気にせずに生活したい方におすすめです。
ただ、マンションによっては使用用途や使用時間に制限がある場合もあります。規約をしっかりと確認し、契約違反にならないようにしましょう。
2. 防音室があるマンションに住むデメリット
続いて、防音室があるマンションのデメリットをご紹介していきます。防音室の注意点を把握しておかないと、住んでから居心地が悪くなったりやりたいことができなかったりと後悔してしまうでしょう。
より快適な暮らしを楽しむためにも、以下の注意点はしっかりと押さえておく必要があります。
2-1. 部屋が狭くなる
防音室は性能を高めるために、壁を厚くしたり天井を低くしたりします。そのため、部屋が狭くなることは覚悟しておかなければなりません。
窮屈な印象になってしまう可能性があるため、防音室があるマンションに入居予定の方は事前に内覧しておく必要があります。部屋が狭くなるのが嫌な方は、窓や床に防音対策が施されている物件を探すのもおすすめです。
2-2. 初期費用が高くなる
防音室があるマンションは、初期費用が高いこともデメリットです。賃貸物件の場合は、家賃が高く設定されている可能性があります。
物件を決める際には、防音室をどのように使いたいか使用用途を明確にしておきましょう。使い方によっては、防音室がなくても問題ない場合があります。
2-3. 湿気が溜まりやすい
防音室は湿気が溜まりやすいことも注意点です。対策していないと、室内がカビだらけになってしまい、見た目が悪くなります。
健康を脅かす原因にもなるため、防音室の換気は徹底しましょう。物件を契約する前に、窓が設置されているか・換気システムが導入されているか確認することをおすすめします。
2-4. 近隣トラブルに繋がりやすい
防音室は周囲を気にせずに映画鑑賞や楽器の演奏が楽しめますが、性能を過信しているとトラブルに繋がる可能性があります。防音室があるマンションだからといって、全ての住民が楽器を演奏するわけではありません。
演奏しない住民が楽器の音を不快に感じてしまう恐れもあるため、限度は考えましょう。
2-5. 大型楽器に対応していない物件もある
マンションによっては、防音室があっても大型楽器に対応していない可能性があります。特にグランドピアノは床を補強していないと、設置できません。
搬入するための間口が狭い場合もあるため、契約前に確認しておきましょう。物件を選ぶ際は空間の目的を考えることが大切です。
3. マンションの防音性を高める方法
最後に、マンションの防音性を高めたいときに取る方法をご紹介していきます。物件を購入した場合と賃貸借契約を結んだ場合では採用する方法が異なるため、それぞれの状況を踏まえながら検討していきましょう。
3-1. 丸ごとリフォームする
マンションを購入した場合には、部屋を丸ごとリフォーム・リノベーションできます。壁や床・天井・窓などの材質を音が伝わりにくい素材に張り替えたり、防音能力の高いものに変更したりすると良いでしょう。
材質や機能にこだわった分だけ防音効果が高まりますが、その分費用はかかります。予算と照らし合わせながら最適な工事をしていきましょう。
3-2. 組み立て式の防音室を設置する
賃貸物件の場合は、組み立て式の防音室を設置することをおすすめします。決められたサイズの箱を置くだけで完了するため、気軽に室内の防音性を高められるでしょう。
防音性能の高さはユニットの種類によって異なりますが、映画の音などは抑えられます。楽器不可の物件では演奏ができないため、映画や音楽鑑賞など趣味を目的に使用するのが一般的です。
3-3. 吸音材を入れる
壁厚を増やして中に防音効果のある素材を入れるのも効果的です。楽器の演奏は音漏れしてしまいますが、生活音を抑えるのには最適でしょう。
ペットや小さなお子さんがいる家庭に向いています。部屋を丸ごと工事するより少ない費用でできるため、使える予算が少ない方にもおすすめです。
3-4. 簡易タイプを利用する
賃貸物件など壁や床を傷付けたくない場合は、簡易タイプの防音室を設置するのが良いでしょう。簡易タイプにはブース型とテント型があります。
ホームセンターで完成品が販売されている他、DIYも可能です。音量の小さな楽器であれば、一定の制音効果は期待できるでしょう。
4. まとめ
いかがだったでしょうか。
今回は、防音室のメリット・デメリットや防音性を高める方法をご紹介してきました。防音室は遮音性・吸音性・耐震性・断熱性があり、楽器の演奏や映画鑑賞に向いています。
ただ、部屋が狭くなることや湿気が溜まりやすいことはデメリットです。性能を過信していると近隣トラブルに発展するため、注意点をしっかりと把握しておきましょう。