「セルロースファイバーはやめたほうがいい?」後悔する5つの原因と対策

リノベーション
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高性能なエコ断熱材として注目されるセルロースファイバー。優れた断熱性や調湿性、防音性など多くのメリットを持つ一方で、「後悔した」「失敗した」という声も聞かれます。

なぜ、高性能なはずの断熱材で後悔が生まれるのでしょうか?

結論から言うと、その原因のほとんどは素材そのものではなく、施工方法や業者選びにあります。

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1. そもそもセルロースファイバーとは?

セルロースファイバーは、新聞などの古紙をリサイクルして作られる、綿状の断熱材です。天然の木質繊維が作る空気の層が熱の移動を防ぎ、高い断熱性能を発揮します。

製造過程で添加されるホウ酸により、難燃性、防虫、防カビ効果も備えています。高い断熱性に加え、日本の気候に適した調湿性、生活音を和らげる防音性、万が一の火災にも強い安全性、そして古紙を利用した環境性能といった多くの付加価値を持つことから、快適で健康的な住環境を求める人々に支持されています。

1-1. 他の断熱材(グラスウール等)との違い

日本の住宅で一般的な「グラスウール」と比較すると、その特徴がよく分かります。

最大の違いは、施工方法による隙間の有無です。セルロースファイバーは綿状の素材を吹き込むため、複雑な形状にも隙間なく充填できます。一方、マット状のグラスウールは施工精度によっては隙間が生まれやすく、断熱上の弱点になることがあります。

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2. なぜ後悔する?セルロースファイバーの主なデメリットと失敗事例

セルロースファイバーで後悔する声は、主に以下のデメリットと、それを助長する「施工不良」から生まれます。

2-1. 【費用】初期コストが割高

セルロースファイバーは、一般的なグラスウールに比べ、材料費と専門的な吹き込み工法にかかる施工費が高くなる傾向があります。「性能は良いが、想像以上に高額で予算を圧迫してしまった」という後悔は少なくありません。

2-2. 【性能低下】壁内沈下による断熱欠損

セルロースファイバー最大の懸念点が、自重で下に沈む「壁内沈下」です。これは、施工時の密度が不足している場合に発生します。壁の上部に隙間ができると、そこが断熱材のない「断熱欠損」部分となり、夏は暑く冬は寒い家になってしまいます。これは典型的な施工不良です。

2-3. 【トラブル】隙間からの落下

天井断熱で起こりやすいのが、セルロースファイバーが隙間から室内に落ちてくるトラブルです。ダウンライトの周りや点検口など、気密処理が不十分な箇所からパラパラと落下してくることがあります。これも、業者の丁寧な仕事が欠けている場合に起こる問題です。

2-4. 【業者】知識・技術不足による施工不良

これまで挙げた「沈下」や「落下」といった問題は、すべて施工業者の知識や技術レベルに起因します。セルロースファイバーは、誰が施工しても同じ性能が出るわけではありません。専門知識のない業者に依頼してしまうことが、後悔する最大の原因と言えるでしょう。

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3. 後悔しないために!セルロースファイバー導入前に知るべき4つのポイント

セルロースファイバーのデメリットは、そのほとんどが「適切な施工」によって回避できます。後悔しないために絶対に押さえるべきポイントをご紹介します。

3-1. 業者選びが最も重要!信頼できる施工店の見極め方

成功か失敗かは、業者選びで9割決まると言っても過言ではありません。以下の点で信頼できる業者か見極めましょう。

  • セルロースファイバーの施工実績が豊富か
  • メーカーの認定施工店など、専門の資格があるか
  • 施工密度(例:55kg/㎥以上)を明確に提示・保証しているか
  • デメリットやリスクも正直に説明してくれるか

3-2. 「充填密度55kg/㎥以上」が沈下を防ぐ目安

壁内沈下を防ぐには、十分な量を高圧で吹き込み、規定の密度を確保することが不可欠です。壁の充填密度は55kg/㎥以上が一般的な目安とされています。見積もりや契約の際に、この数値を確認することが非常に重要です。

3-3. 長期的な視点で費用対効果を考える

初期費用は高めですが、長期的な視点を持つことが大切です。高い断熱性能は日々の光熱費を削減し、優れた調湿効果は家の寿命を延ばすことに繋がります。初期投資は高くても、数十年単位のトータルコストで考えれば、決して高い買い物ではない可能性があります。

3-4. 万が一のための「保証制度」の有無を確認する

信頼できる業者は、自社の施工に対する保証制度を設けていることが多いです。「壁内沈下については〇年間保証」といった具体的な保証内容を確認しておきましょう。これは、業者が自社の施工技術に自信を持っている証でもあります。

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4. まとめ:正しい知識と業者選びで、セルロースファイバーは最高の断熱材になる

セルロースファイバーで後悔する原因のほとんどは、素材そのものではなく、施工業者の知識・技術不足による「施工不良」です。

壁内沈下や隙間からの落下といった問題は、規定の密度で丁寧に施工すれば防げます。したがって、導入を成功させる鍵は、豊富な実績と専門知識を持つ、信頼できる施工業者を見つけることに尽きます。

正しく施工されたセルロースファイバーは、一年中快適な室内環境、結露やカビのない健康的な空気、そして静かな暮らしを実現してくれる、非常に優れた断熱材です。デメリットと対策を正しく理解し、信頼できるパートナーと共に、後悔のない理想の家づくりを実現してください。