ビルトイン洗濯機で理想の空間へ。メリット・デメリットと設置の注意点

リノベーション
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海外のインテリア雑誌で見るような、キッチンや洗面台に美しく収まったビルトイン洗濯機。空間をおしゃれに見せるだけでなく、家事動線を改善する可能性も秘めています。

しかし、その導入には、一般的な据え置き型洗濯機とは異なる費用や専門工事、メンテナンスの注意点が存在します。憧れだけで設置して「こんなはずじゃなかった」と後悔しないために、正しい知識を持つことが不可欠です。

この記事では、ビルトイン洗濯機の導入を検討する方へ、メリット・デメリットから費用相場、設置の注意点まで、プロの視点で網羅的に解説します。

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1. ビルトイン洗濯機とは?基礎知識と据え置き型との違い

1-1. 家具と一体化する「組み込み型」の洗濯機

ビルトイン洗濯機とは、その名の通り、キッチンカウンターや洗面化粧台、または専用の収納家具の内部に組み込んで設置(ビルトイン)するように設計された洗濯機のことです。

洗濯機本体が家具やカウンターと一体化するため、空間をすっきりと見せ、インテリアの統一感を高めます。

1-2. 一般的なドラム式洗濯機との違い

見た目以外にも、日本の一般的な据え置き型ドラム式洗濯機とは決定的な違いがあります。最大の違いは、設置に専門的な工事が必須である点です。

現在、日本でビルトイン洗濯機を導入する場合、その選択肢はミーレ(Miele)やAEG(アーエーゲー)、アスコ(ASKO)といった海外メーカー製品が中心となります。

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2. ビルトイン洗濯機の4つのメリット

ビルトイン洗濯機が選ばれる理由は、単に「おしゃれ」だからだけではありません。

2-1. メリット1:空間に溶け込む、洗練されたデザイン性

最大のメリットは、その優れたデザイン性です。洗濯機という「生活家電」の存在感を消し、家具やインテリアと完全に一体化させることができます。

2-2. メリット2:デッドスペースをなくし空間を有効活用

据え置き型洗濯機にありがちな本体の上部や側面の隙間(デッドスペース)が生まれません。洗濯機の上部がカウンター(天板)になるため、作業スペースとして100%有効活用できます。

2-3. メリット3:キッチンや洗面所がシームレスにつながる快適な家事動線

設置場所の自由度が高く、「洗濯機は洗面所」という常識にとらわれず、最も効率的な場所に配置できます。例えば、キッチンに設置すれば、料理の合間に洗濯を回すといった「ながら家事」が非常にスムーズになります。

2-4. メリット4:海外製ならではのパワフルな洗浄力と耐久性

現在主流の海外メーカー製品は、機能面でも優れた特徴を持っています。少ない水量でたたき洗いする高い洗浄技術や、長期間の使用を前提とした堅牢な設計が魅力です。

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3. 後悔しないために知るべき!ビルトイン洗濯機の6つのデメリット

魅力的なメリットの一方で、導入後に後悔しないために、デメリットと注意点を正確に理解しておくことが不可欠です。

3-1. デメリット1:本体価格と専門工事費が高額になりがち

導入における最大のハードルはコストです。海外メーカー製が中心のため、本体価格が30万円〜50万円以上になるケースが一般的です。さらに、家具への組み込み、給排水、電気工事(200Vなど)のための専門工事費が別途必要になります。

3-2. デメリット2:修理・メンテナンスに時間と費用がかかる

故障時の対応も据え置き型とは異なります。海外製品のため、修理用部品の取り寄せに時間がかかるリスクがあります。また、組み込まれているため、点検や修理の際に一度本体を引き出す作業が必要になる場合も。導入前にアフターサービス体制や保証期間を必ず確認しましょう。

3-3. デメリット3:交換(買い替え)時の機種が限定される

洗濯機には寿命があります。交換(買い替え)の際、最初に設置したスペース(幅・高さ・奥行き)に収まる製品しか選べません。10年後、15年後に同じ規格の製品が製造中止になっているリスクもゼロではなく、交換時にも再度、専門の設置工事費が発生します。

3-4. デメリット4:設置条件の確認(電圧・給排水・床強度)が必須

どこにでも簡単に設置できるわけではありません。多くの海外製モデルは200V電源を必要とするため、対応していない場合は電気工事が必要です。また、給排水管の接続や、製品本体(約80kg〜100kg)+水の重さに耐えられる床強度も求められます。特に2階以上への設置は、設計段階で床補強の検討が必須です。

3-5. デメリット5:乾燥機能が日本のものと異なる場合も

乾燥機能付きモデルもありますが、日本の「ヒートポンプ式」とは異なり、高温で乾かす「水冷式除湿」や「ヒーター式」が主流です。衣類が縮みやすいと感じる場合があるほか、洗濯容量に対して乾燥容量が小さい(例:洗濯8kg/乾燥5kg)モデルが一般的です。

3-6. デメリット6:容量の選択肢が比較的少ない

日本の洗濯機のように、大家族向けの12kg大容量モデルなどは少なく、洗濯容量は8kg前後が主流です。家族の人数や洗濯の頻度によっては、容量不足を感じる可能性があります。

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4. ビルトイン洗濯機の設置・交換ガイド|費用相場と人気メーカー

4-1. 新設・交換にかかる費用の目安

費用は「本体価格」と「工事費」の合計です。状況によって大きく変動しますが、新設の場合、総額で安くても50万円程度、多くは60万〜80万円以上を見込む必要があります。

  • 本体価格の相場: 約30万円 〜 60万円
  • 交換工事費の相場: 約5万円 〜 15万円(※既存の設備が流用できる場合)

4-2. 設置・リフォーム前に確認必須の3つの注意点

  1. カウンターの高さと設置スペースの寸法海外規格の製品(高さ82cm〜85cm程度)を収めるため、カウンターの高さを90cm程度に設定するのが一般的です。日本の標準(85cm)より高くなるため、ショールームなどで高さを体感してください。
  2. 2階以上への設置と床補強・振動対策2階以上への設置は、機種の「重量」と「振動」を設計士や施工業者に共有し、床補強の要否、防振対策について必ず相談してください。
  3. 電源(200V)と給排水設備既存の住宅に導入する場合、200Vの電源引き込み工事が必須になることが多いです。

5. まとめ:ビルトイン洗濯機は「計画性」が成功の鍵

ビルトイン洗濯機は、日本の一般的な据え置き型洗濯機とは全く異なるアプローチを必要とする製品です。

空間の美観を劇的に向上させ、快適な家事動線を実現する大きな魅力を持つ一方で、高額な初期費用、設置条件のハードル、メンテナンスや交換の手間といったデメリットも確実に存在します。

ビルトイン洗濯機の導入を成功させる鍵は、「ご自身のライフスタイルや価値観と合っているか」を冷静に見極めることです。

「デザイン性を何よりも優先したい」「家事効率の向上に投資したい」という方には、唯一無二の選択肢となるでしょう。しかし、「コストを抑えたい」「故障時はすぐに修理したい」という方には、据え置き型の方が適している可能性が高いです。

導入を決断する前に、ショールームで実機を確認し、ビルトイン洗濯機の製品知識と豊富な施工経験を持つ、信頼できるリフォーム会社や施工業者に相談することから始めてみましょう。