中古マンションは、価格の安さはもちろん、自分の好きなようにリノベーションできるのが特徴です。一方で、メリットばかりに気を取られていると、購入後に「もっと購入前にちゃんと確認しておけばよかった」といった事態にもなりかねません。この記事では、購入前にチェックしておきたいポイントの1つである給排水管について解説します。なぜ給排水管のチェックが必要になるのか、交換時の責任は誰が持つのか、などを解説していますからぜひ参考にしてみてください。
1. なぜ給排水管が重要なのか
なぜ、中古マンションを購入するときに給排水管のチェックが重要なのでしょうか。その理由として挙げられるのが、給排水管の老朽化や劣化です。老朽化・劣化が進むことで水漏れが起こる可能性があるほか、水の流れが悪くなったり汚い水が水道から出てきたりする恐れがあります。特に中古マンションだと築年数が経過しているものもあるため、給排水管の老朽化が進行していてもおかしくありません。購入後に後悔しないためにも、給排水管のチェックが重要なのです。
2. 主な配管の種類
ここでは、給排水管として使用されている主な配管について解説します。
2-1. 水道用亜鉛メッキ鋼管
「水道用亜鉛メッキ鋼管」は、水道用の鋼管に亜鉛メッキと呼ばれるメッキを施している配管のことです。1970年前後まではこの水道用亜鉛メッキ鋼管が主に使用されていました。しかし、水道用亜鉛メッキ鋼管は、20年弱で配管自体が腐食してしまい、赤水や漏水といったトラブルが発生してしまう点がデメリットです。そのため、現在は使用されていません。
2-2. 硬質塩化ビニルライニング鋼管
水道用亜鉛メッキ鋼管についで使用されるようになったのが「硬質塩化ビニルライニング鋼管」です。この鋼管は水道用亜鉛メッキ鋼管のデメリットであった内部の腐食を管財によって解決しています。そのため、1970年代以降は硬質塩化ビニルライニング鋼管が各種配管で利用されるようになり、多くの建物で使用されています。
2-3. ステンレス鋼管
ステンレス鋼管は1980年頃から利用されるようになりました。これは、先述の硬質塩化ビニルライニング鋼管よりも耐久性が高いのが特徴です。パッキンの交換こそ必要ですが、長年に渡って使用できます。
2-4. ポリエチレン管
ポリエチレン管は、「ポリ管」とも呼ばれており、現在多くの建物で使用されている主流の管です。ポリエチレン管の特徴は、取り付けのしやすさにあります。他の管と違い、工具や接着剤が不要で部品をはめ込むだけでつなげられるため、時間も手間もかかりません。また、熱や化学物質などにも強いという特徴を持ちます。中古マンションの場合、硬くて白い「架橋ポリエチレン管」もしくは少し柔らかさのある「ポリブデン管」が使用されています。
3. 配管交換の目安
自己負担で配管を交換する場合、交換費用はだいたい30万円を目安と考えてください。ただし、これはあくまでも交換のみに掛かる費用です。実際に配管交換をする場合、床や壁の解体・修復が必要になるため、それに伴う大工工事や内装工事の費用も発生します。そのため、トータルでは50万円〜100万円程度は掛かると考えておいたほうが良いでしょう。
3-1. 配管交換はリノベーションと同時に
配管交換をする場合は、リノベーションと一緒にするのがおすすめです。これは、配管のためだけに床や壁の解体・修復をするのは効率が悪いためです。一緒にリノベーションをすれば、リノベーション工事の際に床も壁も解体するため一緒に配管交換も行えます。
4. 中古マンション購入時の注意点
ここでは、中古マンションを購入する際の注意点を解説します。特に給排水管に関する注意点を取り上げていますからぜひ参考にしてみてください。
4-1. 点検口の有無をチェック
中古マンションの内見を行う際には、給排水管の点検口があるかどうかを確認しておきましょう。点検口とは、配管の点検を行う際に利用する入口部分のことで、天井裏や床下などに配管がある場合に使用されます。もし点検口があれば、マンション購入後に給排水管のトラブルが発生しても適切な処置が取れるでしょう。
4-2. 修繕計画を確認する
中古マンションを購入する前には、必ず修繕計画と修繕履歴を確認するようにしましょう。修繕計画とは、マンションを維持するために10〜15年単位で行われる大規模修繕の計画のことです。修繕計画と修繕履歴があれば、そのマンションは適切なメンテナンスが行われているかどうかが判断できるでしょう。
修繕計画は共有部分の給排水管(吸水管、雑排水管、ガス管など)に関わってくる部分です。共有部分とはいっても、劣化によって生活に支障が出てくる恐れがあるため、修繕計画の有無と修繕履歴はしっかりと確認するようにしてください。
4-3. リノベーション済みの物件は配管交換が行われたか確認
すでにリノベーション工事が行われている物件を購入する場合は、配管交換が行われているか確認しましょう。特に築年数が経過している物件の場合、配管の劣化も進んでいる可能性があります。交換がされていない場合、改めて工事が必要になり出費がかさんでしまう恐れがあるため注意が必要です。
5. まとめ
今回は、中古マンション購入時に注意するべきポイントの1つである給排水管について解説しました。給排水管が壊れてしまうと、水漏れなどの恐れがあるほか、交換が必要な場合は床や壁の解体が必要になる場合もあります。中古マンションを購入する前には、今回紹介した点を中心に給排水管をチェックしてみてください。