マンションの消防点検とは?概要、点検内容や実施頻度について

中古マンション
この記事は約5分で読めます。

マンションで必ず定期的に実施される消防点検。入居されている方であれば消防点検のお知らせを目にしたり、実際に立ち会ったりしたことがある方も多いのではないでしょうか。

今回は、マンションの消防点検について、概要から点検内容、そして消防点検がなぜ必要なのかについて詳しくご説明していきます。

スポンサーリンク
任意売却なら「未来改善パートナーズ」

1. マンションの消防点検って?概要について

消防点検とは、ビルやマンションなどの防火対象物の建物に備え付けられている様々な防災設備を定期的に点検すること。

消防点検の対象となる建物は、デパートやホテル、病院といった延べ面積1,000㎡以上の特定防火対象物。工場や倉庫、学校や共同住宅などの延べ面積1,000㎡以上の非特定防火対象物。そして、避難経路となる屋内階段が一つのみの特定防火対象物の大きく3つに分類されます。

一般的なマンションであれば消防点検の対象となります。ちなみに、「特定防火対象物」と「非特定防火対象物」の違いは、不特定多数の人が利用する建物か否かというものです。

建物の関係者(所有者・管理者・占有者)は、非常ベル、消火器やスプリンクラー、避難はしご、自動火災報知設備、消火栓、誘導灯といった防火設備がいざと言う時にそれらが作動するよう、消防士や消防点検資格者といった有資格者による定期な点検を行い、管轄の消防署等へ報告することが消防法で義務付けられています。

マンションの場合、一般的には管理会社が民間業者に業務委託し、消防設備点検の資格者が点検を実施。そして3年に一度消防署等へ報告を行います。

スポンサーリンク

2. 消防点検の内容や頻度について

では、消防点検の内容について具体的に見ていきましょう。

消防点検の対象となるのは、消火器やスプリンクラーなどの「消火設備」、自動火災報知設備や非常ベルなどの「警報設備」、避難はしごや誘導灯などの「避難設備」、防火水槽などの「消防用水」、排水設備や連結送水管、非常コンセント設備などの「消火活動上必要な設備」の5種類の設備です。

そして、点検の種類には、期間や内容が異なる「機器点検」と「総合点検」の二種類の点検があります。
機器点検は6ヶ月ごとに行う点検で、消防設備機器の設置位置や、設備の損傷、有効期限切れがないかなどを外観からや簡単な操作で確認するものです。マンションの共用部分のチェックと、設備によっては室内への立ち入り点検が必要になります。

対して、総合点検は1年に一回行う点検で、実際に全部もしくは一部の機器を作動させて、総合的に消防設備機能を確認するもの。総合点検の際は室内へ立ち入って消防機器の確認も行うため、入居者の協力も必要になります。

各住戸(専有部分内)で点検が必要となる箇所は、主に消火器、自動火災報知設備、避難はしごの設備です。消火器の設置場所や設備の損傷や腐食、火災報知設備の設置個所や作動確認、避難はしごの腐食や破損、避難経路周辺に障害となるものがないかなどの確認になるため、一住戸あたり10分程で終わります。

スポンサーリンク

3. マンション入居者の消防点検は義務?

先述したように、マンションの消防点検は一部室内に入っての点検が必要になります。そのため、入居者には事前に掲示板などで日程が告知され、立ち合いが求められることになります。日程が合わせられない、部屋の中に入られるのが嫌だし点検は断れないの?と思われる方もいらっしゃいますよね。しかし、マンションの入居者は不当な理由で点検断ることはできません。

まず、消防点検はマンション管理者の義務として消防法で定められており、点検を怠ったり虚偽の報告を行うと罰則が科せられることもあります。消防設備の設置命令違反に対しては1年以下の懲役または100万円以下の罰金、維持管理義務違反として必要な消防設備の管理を行わなかった場合は30万円以下の罰金または拘留の罰則が設けられています。

一方、現行の法律では個人に対して義務付けられておらず、点検を断っても罰則を受けることはありません。しかし、マンションは共同住宅であり、一住戸の問題が全体に及ぶこともありうるため、原則として消防点検は受けなければなりません。

例えば、一つの部屋で火災が起こってしまい、その他の住居にまで影響を与えてしまった場合、火災を起こした部屋が点検を断っていて、万が一消防機器が正常に作動していなかったということになれば、賠償責任を問われる可能性もあります。

また、国土交通省が定めるマンション管理のガイドライン「マンション標準管理規約」では、マンション管理者は管理に必要な場合、部屋への立ち入りを請求することができ、住民は正当な理由がなく拒否してはならないと定めています。

住民がこれを断れば管理規約違反ということにもなり、罰則とはならないにしても、管理組合から注意を受けることもあるでしょう。マンション管理は住民みんなで行うものです。住民一人ひとりがマンションの安全管理の責任を担っていることを忘れずに、消防点検実施の際には必ず点検を受けるようにしましょう。

どうしても日程が合わせられないといった場合、後日点検を受けられる場合もありますが、マンションのよっては再点検が受けられないこともあります。マンションの掲示板で事前に告知される点検日を確認し、極力予定を空けておくようにしましょう。

また、火災発生時を想定し、日頃から共用廊下やバルコニーといった避難経路となる場所に物を置かない、消火器の位置を確認するといった意識をもっておくことも重要です。

スポンサーリンク

4. まとめ

今回は、マンションで定期的に行われる消防点検について詳しくご説明してきました。マンションには防災設備が備え付けられていますが、火災が起こった際にきちんと作動しなければ意味がありません。万が一に備えて、消防設備の機器点検を年に二回、総合点検を年に一回行うということは非常に重要であることがお分かりいただけたと思います。

入居者個人への義務付けはありませんが、マンションを購入された際には、入居者の責任として必ず消防点検を受けるようにしましょう。マンションの防災管理は、入居者全員で行うという意識が大事です。マンション管理に積極的に協力していきましょう。