建て替えの近い中古マンション購入は狙い目?建て替えの概要や注意点

中古マンション
この記事は約6分で読めます。

築年の古いマンション購入を検討する際に気になるのが、将来の建て替えの可能性ではないでしょうか。

価格の安さや立地の良さといったメリットがある反面、建て替えになった時にどうなるのか不安といった方は多いと思います。その一方で、建て替えになって建物が新しくなるなら良いのでは?と思われる方もいらっしゃるかもしれません。

実際にはマンションの建て替えは非常に難しいもので、実施が決まったとしても費用や引っ越し等、住民の負担は大きいものです。

今回は、中古マンションの建て替えについて、概要から注意点について詳しく解説していきます。

スポンサーリンク
任意売却なら「未来改善パートナーズ」

1. マンション建て替えの概要

まず、マンションの建て替えの概要について、詳しく見ていきましょう。

1-1. マンション建て替えに必要な条件

マンションの建て替えを行うには必要な条件があります。

マンションは共同住宅であるため、建て替えるには区分所有者数の5分の4以上の賛成と、議決権の5分の4以上の賛成による決議が必要であると、区分所有法で定められています。

多くの住民が住むマンションですから、住民の意見を集約し、5分の4の賛成を得ることは非常に難しいと言えます。特に大規模マンションの場合はよりハードルが高いでしょう。

なお、国ではマンション建て替えを円滑に行うため、現行の所有者の5分の4の上の賛成を得るといった区分所有法について改正の検討を進めており、今後建て替え条件は緩和されていく傾向にあります。

1-2. マンション建て替えの期間、流れ

マンションの建て替えには、検討から決定、実施までにかなりの時間を要します。

大まかな流れとして、まず建て替えの検討委員会を設立し、マンションの建て替えの実施について具体的に検討していきます。次に建て替えの決議を行うために、建て替え計画を作成し理事会で議題として取り上げ、区分所有者へ周知し協議をスタートします。

そして、住民の合意形成と同時進行で事業協力者を選定。区分所有者の5分の4以上の賛成を得て建て替え決議が行われたら建て替え組合を設立し、建設設計、持ち分や権利関係の調整等を進めます。

その後、仮住まいへの引越し、着工となり、やっと建て替え工事が実施されます。ここからの工事期間も含めると、計画から建て替えが完了されるまでには膨大な時間が掛かるということです。

1-3. 実際に建て替えられたマンションの事例は少ない

では、実際にマンションの建て替え事例がどのくらいあるかというと、国土交通省のデータによれば、2022年4月時点で建て替えが完了したマンションは270件とのこと。

日本には現在、分譲マンションのストックが約675.3万戸あります。その中で築40年を超えるマンションは約103.3万戸。マンション一棟を約60戸として計算してみても、270件で約16,200戸ですから、実際に建て替えられているマンション事例数はかなり少ないことがお分かりいただけると思います。

先述したように、住民の合意形成のハードルの高さ、そして検討から多くの段階を経て実施に至るプロセスの煩雑さが、建て替えが進まない大きな理由と言えるでしょう。

参考: 国土交通省 マンション建替えの実施状況

スポンサーリンク

2. 建て替えの近い中古マンション購入のリスク

では、マンション建て替え時に発生するリスクや注意点について確認していきましょう。

2-1. 住民の費用負担が大きい

マンション建て替え時には、住民が費用を負担することになります。

毎月積み立てている修繕積立金は使えないの?と思われるかもしれませんが、修繕積立金はあくまでも建物の定期的なメンテナンスや修繕に充てるために計画的に積み立てられるものであり、原則として建て替え費用に充てることはできないこととされています。

住民の負担額について、国土交通省の調査によれば近年では1住戸あたり平均1,100万円を負担しているという結果になっており、物件状況等によっても異なりますが、かなり大きな金額が必要になることがわかります。

物件の条件によっては、建て替えによって戸数を増やし、それらを販売した費用を建て替えに充てることで負担を減らすことができるといった物件もあり、実際にこれまで行われてきた建て替えはこうした方法で実施されたケースが多くあります。

しかし、この方法を実施するためには、人気エリアの駅近といったような立地条件に恵まれていることや容積率に余裕があり高層化が望めるといった好条件が整っている必要があり、すべての物件に当てはまるわけではないことは理解しておく必要があります。

参考: 国土交通省 マンションの再生手法及び合意形成に係る調査

2-2. 仮住まい期間が長期になる

建て替えになれば、仮住まいに引っ越すことになります。また、建て替えは大規模な工事になるため、期間は1~2年程度かかります。せっかくマンションを購入したのに、長期間住むことができないことは大きなデメリットと言えるでしょう。

また、引っ越し費用や賃貸の家賃補償はされないことも理解しておきましょう。

スポンサーリンク

3. 建て替えの近い中古マンション購入で注意すべきこと

ここまでのご説明で、建て替えは非常に難しく、住民への負担が大きいものであることはお分かりいただけたと思います。

物件の容積率に余裕があること、立地条件が良いこと、住民の5分の4の合意が得られること等の条件がそろったとしても、用途地域による建設制限や近隣の関係で難しい場合もあります。

また、実施が決まれば、たとえ好条件に建つ物件でも各住民の建て替え費用や引越しといった負担も発生することは避けられません。

こうした点を踏まえて慎重に検討を行いましょう。

そして、これはマンション購入全般で言えることですが、特に築年数の古いマンションの場合は管理組合がしっかりと機能している物件を選ぶことが重要です。建替えの実施までには計画から住民の合意形成といった実施までの準備が非常に重要です。

管理組合が機能していなければ、そもそも建て替えは不可能と言えるでしょう。
日ごろのメンテナンスの状況から長期修繕計画と実施の状況の確認、実際に検討が進んでいる物件の場合は、これまでの総会等の議事録を確認し、建て替え検討の内容も確認する必要があります。

スポンサーリンク

4. FLIE(フリエ)なら2,100件以上の中古マンションを掲載

FLIE(フリエ)では「買主と売主が直接やりとりできる不動産情報サイト」を運営しています。
サイト運営会社という第三者の立場により、不動産のプロならではの確認ポイントや注意点等、
何事も包み隠さずお伝えし、お客様のマンション購入をサポートいたします。

中古マンションの購入に関する疑問をお持ちの方はお気軽にご相談ください。

FLIE(フリエ)では、2,100件以上の売主物件を掲載しているため、きっと気になる物件も見つかるはずです。

5. まとめ

今回は、マンションの建て替えについて詳しく解説してきました。

築年数の経過した物件購入の際には、こうした建て替えの可能性も踏まえて慎重に検討すること。そして、管理体制の良い物件かどうかをしっかりと見極めことがとても重要です。