引越しをする際には、荷造りだけでなく、電気・ガス・水道、金融機関への届出など、手続き関係のやるべきこともたくさんありますよね。
やることが多すぎてうっかり忘れがちなのが、住民票の移動の届出です。
ライフラインの手続き等に比べると緊急性が低いため後回しにしがちですが、生活の様々な場面で必要となるものですから、引越しが決まったら必ずやるべきこととしてチェックしておきましょう。
今回は、住民票の移動について届出の流れや必要な書類等、その他注意しておきたい点について解説します。
※ 併せて「引っ越し準備のスケジュール、いつから?何をする?を徹底解説」もご覧ください。
1. 住民票移動の届出は、引越し先がどこかによって異なる
住民票の移動で必要となる届出は、新しい住居が「同じ市区町村内である場合」と、「市区町村をまたぐ場合」のいずれかによって手続きの種類やタイミングが異なります。
簡単なことですが、引越し前に知っておかないと作業が増えることにもなるため、あらかじめご自身がどちらに当たるのか把握した上で、必要な手続きを確認していきましょう。
2. 同市区町村内での引越しする場合の届出と必要書類
同じ市区町村の中で引越しをする場合は、引越し前の届出は必要なく、引越し後に「転居届」の手続きを行います。必ず、引越し後14日以内に行いましょう。
転居届は、郵送やインターネット上での手続きは受け付けていません。
役所の窓口で行う必要があるため、平日お仕事をされている方は、休日対応が可能かなど、役所のウェブサイトで事前に確認しておくと良いでしょう。
そして転居届の際には、本人確認書類、印鑑が必要になります。
本人確認書類は、マイナンバーカードや運転免許証、パスポートなどの写真付きのものであれば一点の提示だけで問題ありませんが、健康保険証や年金手帳などの写真付きでない証明書の場合は、二点の提示が必要になるため注意しましょう。
3. 市区町村をまたいで引越しする場合の手続きと必要書類
市区町村をまたいで違う場所に引越しされる場合は、「転出届」「転入届」の二種類の届出が必要です。つまり引越し前と後に1回ずつ、2回の届出をするということですね。
まず、引越しする前に転出届の提出を行います。
転出届は引越し前の市区町村の役所に提出するもので、引越し日の14日前から手続きができます。荷造りなどで忙しくなる引越し直前ではなく、余裕を持って手続きしておきましょう。
なお、転出届だけは郵送でも手続きが可能なため、役所に行く時間がない、届出を忘れて遠方に引越してしまったという方は、自治体のウェブサイト等で確認の上、手続きを行ってください。
届出に必要となるのは、本人確認書類と印鑑になります。また、転出届には新住所を記入する欄が設けられていますが、もし確定していない場合は市区町村名まででも提出は可能です。
こちらの手続きの中で重要なのが、届出をした際に渡される「転出証明書」です。この書類は、引越し先の役所で「転入届」を出す際に必要となるため、無くさないように大事に保管しておきましょう。
そして引越しが終わったら、新住居の市区町村の役所で転入届を提出します。こちらも14日以内に必ず届出を行いましょう。必要書類は、本人確認書類、印鑑、転出証明書になります。
4. 代理人による手続きについて
どうしても期間中に窓口に行くことができない場合は、代理の方による届出も可能です。
同一世帯のご家族の方であれば、本人以外であっても同様に手続きが可能ですが、それ以外の方が届出を行う場合は、委任状の提出が必要になります。
委任状の他、ご本人の本人確認書類・印鑑、代理人の本人確認書類・印鑑が必要書類となります。
委任状は自治体のウェブサイトでダウンロードができるため、申請方法とともに確認しておきましょう。
5. 海外から、海外への引越しの場合について
海外へ引越しする、もしくは海外から引越ししてくる場合も、条件によっては住民票の手続きをする必要があります。
転出届は、海外への滞在期間が1年以上になる場合は提出が必要です。また、海外からの長期滞在から帰ってきて、1年以上日本に滞在する予定であれば転入届の提出が必要となります。
必要なものは入国日のわかるパスポート(もしくは飛行機搭乗券の半券、eチケットなど)、本人確認書類、戸籍事項証明書または戸籍謄本(転入先に本籍がある場合は不要)、戸籍の附票の写し(転入先に本籍がある場合は不要)です。
こちらの場合も、国内の転入届、転出届、転居届と同様に、引越しから14日以内に行うこと。また、代理人の申請の場合は委任状が必要になることは同じです。
6. 住民票、移動しないとどうなる?
住民票の移動手続きを行わなかった場合は、どうなるのでしょうか。
住民票は「住民の居住関係を公に証明するもの」であり、住民基本台帳法には住民票移動の手続きは義務として定められています。届出はいずれも14日以内に行うこととされており、超過した理由が悪質な場合は過料が課される場合もあります。
義務化されているからという理由だけでなく、私たちが普段受けている様々な行政のサービスはこうした届出の情報が基になっているため、サービスがきちんと受けられなくなるということにも繋がります。
例えば、様々な場面で必要となる住民票の写しや戸籍証明や印鑑登録証明書等の各種証明書類が新しい住所では取得ができない、公共施設の利用にも制限がでるといったことも。
運転免許証の更新も新住所で手続きができませんし、選挙の投票についても、市区町村が管理する名簿に登録が必要になるため、こちらも新住所に変更していない場合は参加ができなくなります。
新生活を不自由なく過ごすためにも、きちんと住民票移動の手続きを行いましょう。
7. まとめ
今回は、引越しで必ず発生する手続きの一つ、住民票の移動の届出について詳しく解説してきました。
いずれの届出も必要書類も少なく簡単にできますが、引越しされる場所によって届出の種類や手続きのタイミングが異なる点は押さえておきましょう。
また、いずれの手続きについても14日以内に速やかに届出を行う必要があります。やることが多くて大変ですが、住民票の移動は法律にも定められた義務になるため、きちんと忘れずに行いましょう。
ぜひ、この記事を参考に引越し準備や手続きをスムーズに進めてください。