築50年のマンションを購入。いつまで住める?メリットから耐震性、注意点について解説

中古マンション
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リノベーションの認知・普及も進み、リノベーション済みマンション購入や、リノベーションを前提で中古マンションの購入を検討される方が増えています。近年の中古マンション成約データを見ても、築26年超の物件比率が拡大し築古物件の需要が高まっているのがわかります。

築40~50年くらいの中古マンションは、価格も安く立地も良いものが多いため、リノベーション向きの物件候補として検討される方も多いでしょう。でも実際には、ほとんどの方が築年の経過したマンションを購入したいけど寿命や耐震性、その他建て替えのリスクなどといった部分に不安を感じていらっしゃいます。

今回は、築50年のマンション購入について、メリットからいつまで住めるのかといった寿命、耐震性やその他購入時の注意点について、詳しく解説していきます。

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1. 築50年の中古マンションのメリット

まず、築50年の中古マンションのメリットについて見ていきましょう。

1-1. 価格の安さ

やはり一番に挙げられるメリットは価格の安さです。

首都圏の実際に成約した中古マンションデータ(2023年1~3月)が下記になります。

 価格(万円)専有面積(㎡)㎡単価(万円)
築0~5年6,70462.1108.0
築6~10年6,30466.694.7
築11~15年5,76567.685.2
築16~20年5,31869.976.1
築21~25年4,64870.965.6
築26~30年3,37465.051.9
築31年~2,31856.341.2
首都圏中古マンション・中古戸建住宅 地域別・築年帯別成約状況【2023年1~3月】より引用

築年の経過にしたがって価格が下がり、築30年以上経過すると、新築時の3~4割程度の価格になるというるのがお分かりいただけると思います。こちらのデータでは「築31年~」と30年以上の物件すべての平均価格で出されていますから、築50年の物件であれば価格はさらに下がるでしょう。

リノベーションに費用を掛けたいから、なるべく物件価格を抑えたいという方には向いていると言えますね。

1-2. 立地の良さ

築50年のマンションが建設された1970年代は、日本でマンションが本格的に普及し始めた頃。そのため、比較的好立地に建てられている物件が多いというのも大きなメリットです。駅近の好立地に建つ物件も多く、新築マンションでは手に入れられないような好立地でリーズナブルにマンションを購入したいという方には向いていると言えます。

また、将来的にマンションの賃貸を検討される方であれば、物件の立地条件は非常に重要ですから、そういった点でもメリットとして大きいと言えますね。

1-3. 物件の管理状況・履歴が確認できる

中古マンションは管理が大事というのは、様々なメディアで言われているため、中古マンションを検討されている方であれば当然チェックするべきこととして既に頭に入っているでしょう。
築50年であれば、50年間という長い期間の管理履歴と、管理されてきた結果として物件がどのような状況であるかを、実際に目で見て確認できるということはメリットと言えます。

もし、検討されている築50年の物件が、管理が行き届いていて建物の状態も良いということであれば、そこまできちんとした管理が行われてきたこと、そしてこれからも継続的に適切な管理がされていくことの証になります。管理状況は、築浅の物件では確認しきれない部分もあるため、築古の物件ならではのメリットと言えるでしょう。

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2. 気になる建物寿命、耐震性について

築50年のマンション購入で最も気になるのが、この先どのくらい住めるのか?という寿命や耐震性についてですよね。こちらで詳しく見ていきましょう。

2-1. マンションの寿命ってどのくらい?

マンション寿命についてのデータや考え方は様々あります。実際に建て替えられたマンションの平均築年数は東京都で約42年。そして、税法上の減価償却算出のために定められている「法定耐用年数」は47年となっています。

しかし、こちらのデータはそのままマンション寿命と考えることはできません。前者のデータは、建て替えられたごく一部のマンションの平均値であり、建て替え理由もほぼ寿命や老朽化によるものではありません。

また、後者の法定耐用年数は、減価償却の計算に盛りいつ基準値として決められたものですから、これも寿命の年数とは言えないのです。

国交省が発表している、『「中古住宅流通促進・活用に関する研究会」報告書』には、鉄筋コンクリート造のマンションの平均寿命は68年という調査結果が発表されており、物理的寿命は117年と推定されるとの調査研究例も掲載されています。

建物の耐久性という観点からいえば鉄筋コンクリート造は100年を超え、定期的に適切なメンテナンスがされている物件であれば、築50年のマンションでも住み続けることができると言えますね。

※ 参考記事: 「マンションの寿命はどのくらい?耐用年数や長く使える物件の見極め方

参考: 【東京カンテイ】マンション建替え寿命・面積変化
参考: 【中古住宅流通促進・活用に関する研究会】報告書

2-2. 耐震性について

日本は地震大国と言われており、耐震性に不安を感じる方は多いと思います。
現在の耐震基準は1981年6月に定められたもので、それ以前の耐震基準で建てられたマンションは旧耐震物件と言われます。旧耐震基準は、震度5強程度の地震でも倒壊しないという基準。新耐震基準は、さらに耐震性能を厳しく設定し、震度6強から7程度の地震でも倒壊しないという基準です。

築50年のマンションは旧耐震基準で建てられた物件となりますが、旧耐震の物件だから十分な耐震性能がないというではありません。実際のデータとして、東日本大震災で被害を受けたマンションでは新旧の耐震基準による差はほとんどありませんでした。

また、旧耐震の物件でも耐震改修工事を行っているマンションもあるため、旧耐震であるからという理由だけで物件を選択するのではなく、建物の耐震性能についての確認、そして地域の地盤の状況等もあわせて確認の上、判断されることをおすすめします。

※ 旧耐震基準については、「旧耐震基準とは?新耐震基準との違いから、確認方法、選ぶ際の注意点」で詳しく解説しています。

参考: 【東京カンテイ】「東日本大震災 宮城県マンション被害状況報告

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3. 築50年マンション選びの注意点

では、築50年のマンションを選ぶ際、どういったことを注意すればよいのでしょうか。

3-1. 管理状況を確認(長期修繕計画、大規模改修・修繕履歴、修繕積立金など)

マンションは管理が重要です。とくに、築年が50年経過したマンションであればさらに管理状況の確認は重要性が高くなります。長期修繕計画があるか、そして実際に修繕が定期的に、適切に行われているか。そして管理費・修繕積立金も問題なく徴収され、滞納等がないか。これは最低限確認が必要です。

また、築古のマンションでは、建て替えの議論が進んでいる場合もあります。建て替えの場合は、個人の負担金等も発生するため、この辺りも確認しておく必要があります。

※ 参考記事: 「マンションは何年で建て替えが必要?建て替えの現状や建物寿命の考え方

3-2. 建物構造の確認

建物の構造についてもチェックしましょう。建て替えの原因として多くあげられるのがマンションの配管構造の問題。コンクリートの耐久性が高いことは先述しましたが、配管は30年ほどが寿命と言われています。そのため、配管が更新しやすい構造であることが重要です。

1970年代のマンションでは、排水管がコンクリートスラブに埋設されているケースが多く、交換ができないという場合もあります。また建物の耐震性についても、気になる方は耐震診断や改修について確認しましょう。そして、リノベーションを検討される方であれば、電気容量についても確認することも覚えておきましょう。築年が古い物件では、電気容量が小さい場合が多く、容量が挙げられないということもあります。

築年の古い物件は、現在のマンション構造とは異なる点が多いため、不動産担当者やリノベーションの専門スタッフなどに相談し、一緒に確認してもらうのがおすすめです。

3-3. 立地条件など資産価値の観点でも検討

終の棲家として購入しても、将来的にやむを得ない理由で売却するなど状況が変わることもあるでしょう。築年数が古いマンションは売却しづらいという傾向もあるため、資産価値の観点で物件を見ることも重要です。駅からの距離だけでなく、駅や路線の利便性、再開発の状況や治安や学区といった部分も視野に入れて物件選びをするのも重要です。

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4. まとめ

今回は、築50年のマンション購入について、メリットから注意点までご説明してきました。
価格の安さや立地の良さといったメリットは大きいですが、反面建物の老朽化や資産価値の低下など、デメリットとなる点もあります。

この記事を参考に確認すべきポイントを押さえて、ぜひ理想の住まい探しを実現してください。