マンションは何年で建て替えが必要?建て替えの現状や建物寿命の考え方

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マンション購入の際、物件の寿命ってどのくらいなのか?建て替えの可能性はないのか?ということが懸念点として浮かびますよね。実は、マンションの建て替え事例数はあまり多くないのです。
この記事では、マンション建て替えの現状や、中々建て替えが進まない理由、気になるマンションの寿命に関する考え方等について解説します。

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1. マンション建て替えの事例数はどのくらい?

国交省のマンション建て替え実施状況によると、令和4年4月時点で建て替え工事が完了したマンションは270件。
日本には現在、分譲マンションのストックが約685.9万戸あり、その中でも築年数の経過した築40年超のマンションだけでも約115.6万戸もあります。この数字をみても、建て替えられているマンションが、ほんのわずかしかないことがお分かりいただけると思います。

そして、年月が進むごとに築年の経過したマンションはどんどん増えていき、10年後には約2.2倍の249.1万戸。20年後には約3.7倍の425.4万戸になる見込みです。

参考: 国土交通省 マンション建替えの実施状況

参考: 国土交通省 築後30、40、50年以上の分譲マンション戸数

参考: 国土交通省 分譲マンションストック戸数

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2. マンション建て替えの条件

マンションの建て替えが進まない理由を見ていく前に、建て替えするのに必要な条件について見ていきましょう。

分譲マンションは、区分所有者の5分の4以上の賛成と、議決権の5分の4以上の賛成による決議が必要であることが区分所有法により定められています。
特に、多くの方が暮らす大規模マンションでは、住民の意見を取りまとめて集約するのにも数年かかるというケースもあり、5分の4の賛成といった合意形成をとるにはかなりのハードルがあると言えます。

建て替えは、資産価値の下落を回避できるメリットはありますが、住民への様々な負担があるため、意見の集約はかなり難しいものなのです。

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3. 建て替えが進まない理由

建て替えが進まない理由の一つは、先ほどご説明した区分所有者の合意形成の難しさですが、その他にも建て替えが難しい理由があります。
詳しく見ていきましょう。

3-1. 費用負担が大きい

マンションの建て替えの際には、調査・解体・設計・建築費用、借入金の利息、その他仮住まいや2回の引っ越し費用などがかかり、修繕積立金の残高や国の支援制度を利用しても、住民への負担も大きくなっているのが現状です。

マンションの規模や条件、大規模修繕積立金の積立額により異なりますが、一般的な建て替え負担金(約60㎡の場合)1000万円~2000万円かかるといわれています。

「容積率に余裕があり高層化できる」、「希少な立地」といったような条件にあるマンションの場合、建て替え後に利益を見込めるため、住民の費用負担が軽減されることがあります。そして、実際に建て替えられているマンションは、こうした費用負担が少ないケースが多いというのが現状です。

しかし、こうした恵まれた条件を持つ物件は一部となり、一般的には建て替えの費用負担は厳しいといえるでしょう。

3-2. 建て替えまでの期間の長さ、流れの複雑さ

建て替えが決定するまでには、様々な段階を踏む必要があるため、かなりの期間が掛かります。

まず、建て替えの検討委員会を設立し、マンションの建て替えをすべきか修繕や改修にすべきかどうかなどを具体的に検討していきます。建て替えの決議を行うために、建て替え計画を作成し区分所有者へ周知、協議を開始します。

そして、合意形成を図るとともに事業協力者を選定し、区分所有者の5分の4以上の賛成を得て建て替え決議が行われたら、建て替え組合を設立し、具体的に持ち分や権利関係の調整、建築設計を進めます。

その後、仮住まいへの転居、工事の着手。ここからやっと建て替え工事が実施されますから、計画から建て替えが実施されるまでに、本当に長い道のりということがお分かりいただけると思います。

また、老朽化したマンションの住民の中には高齢の方も多いため、引っ越しや費用面も含めた負担が大きい建て替えについての合意形成は、より難しいと言えます。

3-3. 法律上建て替えが難しい物件も

建て替えの進まない理由の一つに、「既存不適格」の物件が多いことも挙げられます。

既存不適格とは、建築時の建築基準法や施行令等には合法的に建てられたが、その後の法律の改正や都市計画の変更等によって、現行の法律規定に適合していない物件のことをいいます。

したがって、現時点では問題なくても、再建築する際には現行の法律に則って建築する必要があるため、建て替えによって容積率が大きく減る等ということもあります。
こうした理由から、建て替えの検討が難しくなるケースが多いのです。

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4. マンションはどのくらい持つ?寿命の考え方について

では、マンションはどのくらいで建て替えが必要なのでしょうか。

東京カンテイのマンション建替え事例を見てみると、全国平均で約40.3年、東京都では約42.1年ということで、概ね40年で建て替えられていることがわかります。

また、マンションは鉄筋コンクリート造になるため、資産の減価償却からみた耐用年数は47年とされています。

マンションの耐久性からみた寿命はどうかといれば、国交省の「中古住宅流通促進・活用に関する研究会」報告書に掲載されている研究調査結果を見ると、約120年の耐用年数があるされています。

こうして比較してみると、実際の建て替え状況や減価償却からみた耐用年数と、耐久年数には大きな開きがありますね。

その理由としては、先述した通り、建て替えられているマンション事例の多くは、建て替えによる利益が見込める物件であるために、中にはまだ十分に耐久性のあるマンションが建て替えられるケースもあったということが一つあります。

また、築30~40年のマンション黎明期の物件は、現在のマンションと比較してメンテナンス性・更新性が悪く、特に給排水管は劣化による水漏れやつまりなどを起こしやすい物件が多くありました。そのため、躯体に耐久性があっても建物全体の建て替えを行わざるを得なかったという理由もあります。

近年建築されているマンションであれば、建材の質や給排水管等の重要インフラの更新性も、黎明期に比べて格段に進歩しています。
それに加えて、建物を長く保つために最も重要な定期的なメンテンナンスについても、長期修繕計画が作成されることにより、きちんと行われるようになっています。

そして、リノベーションの認知や普及も進み、一住戸内(専有部分)をリノベーションによってライフスタイルにあわせて再生させるという方も増えています。

こうしてみてみると、マンションの寿命の考え方、そして建て替えのタイミングは、以前よりも長くなっていくと考えられますね。

参考: 東京カンテイ マンション建替え事例

参考: 国土交通省「中古住宅流通促進・活用に関する研究会」報告書

※ マンションの大規模修繕工事については「マンションの大規模修繕工事って何?内容や費用、行われる期間等」をご覧ください。

5. まとめ

今回は、マンションの建て替えについて、現状から建て替えが進まない理由、そしてマンションの寿命について解説してきました。

実際の数字を見ても分かるように、建て替えられている物件はわずかであること。また、近年のマンションは管理体制も良いものが多く、建築の技術も向上しているため、寿命という意味では以前よりも長くなっていることがおわかりいただけたと思います。

いずれにしても、建て替えが決まったら住民負担は大きいため、築年数の経ったマンション購入を検討する際は、管理状態や建て替え計画等の情報を確認し、リスクも考慮して検討することをおすすめします。