築30年のマンション、何年住める?メリットや購入の際の注意点

中古マンション
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築年の経った中古マンションは、価格の安さや立地などのメリットがあるから検討したいけど、本当に買って大丈夫なの?と不安に思う方も多くいらっしゃいますよね。

今回は、築30年の中古マンション購入に絞って、メリットやデメリット、マンションの寿命について、物件を選ぶ際のポイントについて具体的にご説明します。

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1. 首都圏の中古マンション取引の傾向

まず、首都圏の中古マンションの取引傾向について見てみましょう。

東日本レインズが出す、「築年数から見た首都圏の不動産流通市場(2021年)」のデータを見ると、販売されている中古マンションの平均は約築27年。実際に成約している中古マンションの築年数別の割合を見ると、築30年以上の物件の割合が最も多い傾向となっています。

その理由としては、年を追うごとに築年を経過した物件の数が積みあがっていくのに加え、建替えが進まないために、築古の物件数は増加傾向にあること。

そして、近年リノベーションの認知・普及が進み、あらかじめ不動産業者がリノベーションをした上で販売される中古マンションや、自分で中古マンションを買ってリノベーションされる方が増え、築年数の経過した物件にメリットを感じて購入している方が増えているのも理由と言えるでしょう。

参考: 築年数から見た首都圏の不動産流通市場(2021年)|東日本レインズ

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2. 築年数と資産価値について

築年数と資産価値の関係について考えた時に、当然築年が経過するごとに資産価値は下がっていくと思いますよね。

しかし、実際にデータを見てみると、築25年までは価格が下降していきますが、それ以降は横ばいになるという傾向があります。つまり、約25年経つとマンションの価格は底値となり、それ以降は価値が下がりづらいということになります。

こうしてみると、築25年以降の物件にメリットが感じられるのではないでしょうか。

参考: 築年数から見た首都圏の不動産流通市場(2021年)|東日本レインズ

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3. 築30年の中古マンションのメリット

では、築30年の中古マンションのメリットについて見ていきましょう。

3-1. 新築よりも安くて、価格が下がりづらい

2021年度の首都圏における新築分譲マンションの平均価格は6,360万円(㎡単価95.3万円)。引き続き、価格は右肩あがりで上昇しています。中古マンションの価格も上昇傾向にありますが、2021年度の成約物件価格の平均は3,949万円。平均値を比べても中古マンション価格は、新築の約6割程度の価格ということがわかります。

築30年の中古マンションであればもっと価格は下がるため、仮に購入後にリノベーション費用を掛けたとしても、新築購入よりも価格は安く抑えられます。
そして、先述したように築25年以降は資産価値が下がりづらいということもメリットと言えます。

参考: 首都圏新築分譲マンション市場動向|株式会社不動産経済研究所
参考: 首都圏不動産流通市場の動向(2021年度)|公益財団法人東日本不動産流通機構

3-2. 立地が良い物件が多い

築年の経過したマンションは、比較的新しいマンションよりも好立地に建っていることが多い傾向にあります。1960年以降マンションの普及が進みましたが、先に建てられた物件程良い立地に建てることができるため、築年の古い物件のほうが好立地に建てられていることが多いのです。

不動産において、立地良さは資産価値に大きく影響しますから、メリットとして大きいと言えますね。

3-3. 中古マンションのメリット、実際に現地が見られる

中古マンション選びには管理体制の良し悪しが重要であることは、色々なメディアで取り上げられていますし、皆さんご存じですよね。築30年経ったマンションであれば、長年の管理状態を実際に確認することができます。

30年経っても共用部がきちんと綺麗に維持されている物件であれば、その後の管理も問題がないということがわかりますよね。
管理の履歴がしっかりと確認できることは非常に重要です。

3-4. 新耐震基準で建てられている

耐震基準は、1981年6月を境に旧耐震基準、新耐震基準の二つに分けられます。簡単に言うと、旧耐震基準より厳しい基準が設けられているのが新耐震基準であり、震度6以上の大規模地震でも倒壊しないことを条件に基準が設けられています。

すでに、1981年から30年以上が経過していますから、築30年の物件は新耐震基準で建てられている建物です。マンションの耐震性について不安に思われる方も安心して購入することができると言えますね。

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4. 築30年の中古マンション、寿命はどのくらいなのか

皆さんが最も気になるのが、中古マンションの寿命についてですよね。
まず、「法定耐用年数」と建物寿命が同じだと考えている方が意外と多くいらっしゃいますが、これは全く違います。

税法上、減価償却の算出のために定められているのが「法定耐用年数」で、マンションの場合は47年です。しかし、これはあくまでも便宜的に定められた年数で、実際の建物寿命ではありません。

国交省が発表している、『「中古住宅流通促進・活用に関する研究会」報告書』によると、鉄筋コンクリート造のマンションの平均寿命は68年という調査結果が発表されていれており、物理的寿命は117年と推定されるとの調査研究例も掲載されています。

建物の寿命は、適切なメンテナンスがされているか否かで大きく左右されるもの。築30年の物件でも、きちんと手入れがされていれば、まだまだ住み続けることができると言えます。

参考: マンション建替え寿命|東京カンテイ
参考: 「中古住宅流通促進・活用に関する研究会」報告書|国土交通省

5. 物件選びのチェックポイント

では、実際に物件を選ぶ際に確認しておきたいチェックポイントについて詳しく見ていきましょう。

5-1. 適切な管理がされているか(管理状況、修繕履歴、修繕積立金の確認)

先述したように、マンションの建物寿命を左右するのは適切なメンテナンスです。長く住み続けるためにも、資産価値を守るためにも、マンションの管理体制をきちんと調べることが最も重要です。

築浅の物件と異なり、築30年のマンションであれば管理体制の確認がしやすいともいえいます。なぜなら、長年にわたる物件管理の結果が、外観や共用部といった見た目や、修繕履歴や修繕積立金額に表れているからです。

日常の管理業務が適切に行われているか。修繕計画が適切に定められ、きちんと実施されているか。そして適切なメンテナンスを行うための修繕積立金が十分にあるかは必ず確認しましょう。

5-2. 建て替え予定はあるか

築古のマンションの場合、様々な理由から建て替えを検討しているケースもあります。築30年の物件であれば検討しているケースは多くはないと思いますが、購入時には確認しておきましょう。

マンションの建替えとなると、住民に費用負担が発生するケースもあります。建替えには住民の5分の4以上の賛成が必要となりますし、実施のハードルは高いと言えますが、もし検討がされているようであれば把握しておく必要があります。

検討がされている場合、理事会の議事録などに記載があるため事前にチェックしておきましょう。

5-3. リノベーション前提であれば、構造や物件状況を確認

リノベーションを前提として築30年の中古マンションを購入する場合は、希望のリノベーションができる物件かどうかを事前に確認することが重要です。

例えば、壁式構造であれば大きな間取り変更が難しい場合がありますし、水回りの移動なども希望が叶わない場合もあります。その他電気容量や給排水管の状況なども確認しておきましょう。想像以上に老朽化が進んでいて内装費用がかさみ、予算オーバーしてしまうということもリノベーションにはよくあります。

内見の際には、必ずリノベーションのプロに立ち会ってもらい、可能な範囲で物件状況の確認をしておきましょう。

6. まとめ

今回は、築30年の中古マンションのメリットやデメリット、その他物件選びの注意点などについて詳しく見てきました。

価格や建物の状況等のバランスを全体的にみても、中古マンションのメリットが最も得られやすいのが築30年のマンションと言えるかもしれません。

ぜひ、皆さんの希望の住まい選びにお役立てください。