住宅ローン控除、初年度の確定申告をし忘れた場合どうすればいい?

住宅ローン・税制
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住宅ローン控除は、住宅ローンを利用して住まいを購入した際、一定の要件を満たした場合、所得税の控除が受けられるというお得な制度。住宅の購入をしたいという方であれば、利用を検討されている方も多いと思います。

住宅ローン控除を受けるためには、初年度には確定申告、2年目以降は年末調整時に申告(給与所得者の場合)を行う必要があります。初年度の確定申告をし忘れた場合、住宅ローン控除は受けられないのでしょうか?

この記事では、住宅ローン控除を受けるために必要な手続きや、初年度に確定申告を忘れてしまった場合どうすればよいかについて解説します。

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1. 住宅ローン控除の基本的な概要について

住宅ローン控除とは、個人が住宅ローンを利用して住宅を購入する際、一定要件のもとに所得税から控除が受けられる制度。年末の住宅ローン残高の1%相当額が10年間(消費税率10%が適用される住宅の取得をした場合の控除期間は13年)所得税から減税され、所得税から控除しきれない額は、控除限度額の範囲内で個人住民税から控除されるというものです。一般住宅の場合であれば年間で最大40万円の控除が受けられるため、住宅購入時のメリットとなる制度と言えるでしょう。

住宅ローン控除の主な適用要件としては、所得が3,000万円以下であることや、10年以上の住宅ローンを組んでいること、床面積が50㎡以上(2021年度税制改正により40㎡に緩和)であること、中古住宅であれば一定の耐震基準にて適合していること等があります。
住宅ローン控除について詳細は、国税庁のウェブサイトを確認ください。

参考: 国税庁 認定住宅の新築等をした場合(住宅借入金等特別控除)

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2. 住宅ローン控除を受けるために必要な手続き

住宅ローン控除を受けるためには、初年度に確定申告を行う必要があります。

1年目に確定申告を行うと、その年の10月ころに税務署から「給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書」兼「年末調整のための(特定増改築等)住宅借入金等特別控除証明書」が送られてくるため、2年目以降は、勤務先の年末調整で申告が可能になります。

住宅ローン控除の確定申告に必要な書類は下記になります。

  • 確定申告書(税務署や国税庁ウェブサイトより)
  • 住宅借入金等特別控除額の計算証明書(税務署や国税庁ウェブサイトより)
  • 源泉徴収票(会社員の場合)
  • 登記事項証明書
  • 不動産売買契約書の写し
  • 住宅ローンの年末残高証明書(住宅ローン借入れ金融機関より)
  • 本人確認書類の写し(マイナンバーが記載されている書類)

こちらに加えて、中古住宅や認定長期優良住宅など、追加で必要な書類が異なるため、ケースに応じて書類を準備しましょう。

確定申告の期間は、会社員などの給与所得者の場合、購入・入居した年の翌年の1月4日から3月15日までの間です。(自営業者などは、2月16日~3月15日の一般申告と合わせて行う)
手続きは、税務署の窓口の他、郵送や国税庁のウェブサイトからも可能です。

参考: 国税庁 確定申告書等作成コーナー

住宅ローン控除の確定申告の記入はわかりづらいため、不明な点は税務署窓口や市区町村の対応窓口で確認しましょう。

では、初年度の確定申告を忘れてしまった場合について、具体的に見ていきましょう。

※ 不動産所得税の申告忘れについての詳細は、「不動産取得税の申告を忘れた際の、軽減措置の手続きや必要書類について」をご覧ください。

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3. 確定申告を忘れても、5年間は還付申告が可能

実は、初年度の確定申告をし忘れてしまった場合でも、5年以内に還付申告すれば住宅ローン控除が受けられます。ただし、5年以上経過した場合は受けられないため、確定申告を忘れたことに気づいたらすぐに手続きを行いましょう。なお、申告を行う際には、借入れした年からの全ての確定申告書類を作成する必要があります。

そして、一点注意点があります。
住宅ローン控除は、所得税から控除しきれない額は控除限度額の範囲内で住民税から控除されます。しかし、住民税からの控除は、納税通知書が発送される前に申告されたものしか適用されません。

所得税の控除は5年以内の申告で受けられますが、住民税の場合は、納税通知書が発送される前に申告しなければ控除が受けられないという点も注意しておきましょう。

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4. 確定申告をしたが、住宅ローン控除の適用をし忘れた場合

初年度の確定申告は行ったが、住宅ローン控除の申告を忘れてしまった場合についても見ていきましょう。
こちらの場合は、確定申告自体を行わなかった場合とは異なり、遡って控除を受けることは難しいです。

確定申告は、提出後に計算に誤りなどがあって還付金が少なかった、税金を多く収めすぎていたという場合は更生の請求ができますが、住宅ローン控除の適用は更生の請求には該当しません。

住宅ローン控除の適用をせずに確定申告をしてしまった場合、税務署に更生の嘆願書を作成し提出するという方法もありますが、正式な手続きではないため、必ず認められるとは限りません。
いずれにしても、忘れたことに気づいた場合は、早めに税務署に相談することをお勧めします。

5. 2年目以降、年末調整時の住宅ローン控除の申告を忘れた場合

2年目以降は、勤務先の年末調整で住宅ローン控除の申告が可能ですが、こちらの手続きを忘れてしまった場合についても見ていきましょう。

方法は2つ。1つ目は、勤務先で再度年末調整をしてもらう方法です。年末に年末調整の書類を提出することが一般的ですが、法的には1月末までであれば修正対応してもらうことができるため、もし忘れてしまった場合は勤務先に相談してみましょう。

2つ目の方法は、ご自身で確定申告を行うという方法です。会社に相談したが年末調整の修正が難しいという場合は、初年度の手続きと同様に確定申告を行うことで申告が可能です。

6. まとめ

ここまで、住宅ローン控除の手続きと、初年度の確定申告を忘れてしまった場合の対応などについて解説してきました。忘れてしまった場合でも、住宅ローン控除を受けるための方法はありますが、手続きに手間が掛かりますし、受けられない場合もあります。

住宅ローン控除は金額も大きく、住宅購入をお得にする大きな特典です。メリットを最大限活用するために年に1度の手続きを確実に行いましょう。