住宅ローンの名義変更はできる?返済中に変更したい場合の方法や注意点

住宅ローン・税制
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不動産購入後、様々な理由から夫婦間や親子間などで住宅ローンの名義変更が必要となる場合があります。しかし、住宅ローンの名義変更には金融機関の承諾が必要となり、原則的には不可となります。

この記事では、住宅ローンの名義人とは何か、金融機関が住宅ローンの名義変更を認めない理由、どうしても名義変更をしたい場合はどうしたらよいのかについて、詳しく解説していきます。

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1. 住宅ローンの名義人とは?不動産の名義人との違い

まず、「名義人」とは何か。住宅ローンの名義人と混同しやすい不動産名義人との違いについて詳しく見ていきましょう。

1-1. 不動産の名義人とは

不動産の名義人とは、不動産(土地と建物)の所有者のことを指します。不動産を取得した際には法務局で不動産登記を行い、登記事項証明書に所有者として記録されます。未登記の場合は融資を受けられないため必ず登記を行う必要があります。

名義人は単独名義の他、不動産を複数人で購入した場合は、出資額の割合に応じた所有持ち分で共同名義とすることも可能です。

1-2. 住宅ローンの名義人とは

住宅ローンの名義人とは、住宅ローンを契約し返済義務を負う人のことを言います。
住宅ローンの借入れをすると、金融機関が不動産を担保にするために抵当権を設定します。そのため、住宅ローンの名義人は登記簿謄本で確認することも可能です。

住宅ローンの名義人は、夫もしくは妻だけが名義人になっているケースもあれば、夫婦や親が共同で名義人になっている場合もあります。複数人が住宅ローンの名義人になっている場合(連帯債務型)は、すべての名義人が同様に債務を負うというもの。

つまり、金融機関はすべての債務者に返済請求を行うことができます。また、複数人が名義人の場合は、単独名義に比べて契約関係が複雑になり、離婚時などトラブルにつながりやすいといった面もあります。

1-3. 住宅ローン名義人=不動産名義人ではない

住宅ローンの名義人と不動産の名義人はイコールではなく、別々の物です。そのため、不動産の持ち分と住宅ローンの負担割合は、必ずしも一緒にする必要はありません。

ただし、不動産の持ち分とローンの負担額が異なる場合、持ち分を超えるローンを支払うと贈与されたとみなされ、年間110万円を超える部分が贈与税の対象となる場合があるため注意しましょう。

また、住宅ローンがまだ残っている段階で不動産の名義変更を行うには、事前に金融機関に承諾を得る必要があるため注意が必要です。

原則的には、抵当権が設定された状態でも名義変更は可能ですが、住宅ローンの契約書には事前の承諾についての記載があるため契約違反となってしまいます。最悪の場合は住宅ローンの一括返済を求められることもあることは覚えておきましょう。

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2. 住宅ローン返済中の名義変更は原則認められない。その理由は?

冒頭でお伝えした通り、住宅ローンの借り入れが残っている状態での名義変更は原則不可となります。
住宅ローンを契約する際には、必ず契約者(名義人)の収入や勤務先、その他借り入れ状況などを金融機関が審査した上で、融資の可否及び金額について決定します。

不動産は高額な買い物ですから、金融機関の借入の審査は慎重に行われます。そのため、住宅ローンの契約者以外の人に名義変更をしたいという申し入れは、基本的にはできないということは理解できると思います。

住宅ローンの契約の際は、基本的に名義変更ができないということを踏まえて、契約者を決める必要がありますね。

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3. 名義変更が認められる可能性のあるケース

住宅ローンの名義変更は基本的には不可ですが、条件によっては認められる場合もまれにあります。例えば、離婚により単独名義人であった夫が家を出て、そのまま妻が住み続ける場合、妻にも名義人の夫同様に安定的な収入があるといった場合には、名義変更ができる可能性があります。

ただし、同様の場合でも、夫婦共同名義で住宅ローンを組んでいる場合は、夫婦の収入を合算して住宅ローンの審査を通っていることになるため、夫婦どちらかの単独名義に変更するといったことは難しいでしょう。

例として挙げたケースの場合でも、あくまでも金融機関の判断となるため、基本的に名義変更ができる可能性は低いと考えておきましょう。

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4. 住宅ローンの名義変更ができない場合は、借り換えを検討

基本的に住宅ローンの名義変更は難しいため、どうしても名義変更をしなければいけない場合は住宅ローンの借り換えを検討するのが一般的です。
借り換えとは、新たに住宅ローンを組んで既存の住宅ローンを完済するという方法です。

流れとしては、最初に新たな借り換え先を見つけて、新たな名義人が事前審査・申込・契約を行い既存の住宅ローンを完済。そして、新たな名義人が住宅ローンの返済を行うというもの。
この方法であれば、名義変更は無理なくでき、金利が低いものを選べば総支払額を減らすことができる可能性もあります。

ただし、新しく住宅ローンを組む際にももちろん金融機関による審査があるため、収入等の条件によっては住宅ローン自体組むことができない場合もあります。頭金を多めに入れることや住宅ローン以外の借入を完済させるなど、審査が通りやすくするような対策も検討しましょう。

また、基本的に住宅ローンを組むには、対象住宅に住んでいることが条件となります。その点も踏まえて契約者を決める必要があることは注意しましょう。また、新しく借り入れを行う際には契約時の諸費用や一括繰り上げ返済の手数料等が掛かることも覚えておきましょう。

5. まとめ

今回は、住宅ローン返済中の名義変更について詳しく解説してきました。条件によっては、認められるケースもまれにありますが、原則的に名義変更は認められないと考えておく必要があります。

また、名義変更は複雑なものであるため、専門的な知識が必要な場合もあります。金融機関や弁護士や司法書士等、早めに専門家への相談を行うことも重要です。

これから住宅ローンを組んで住宅購入をされるという方も、名義変更の可能性も踏まえて、住宅ローンの契約者は慎重に決めることをおすすめします。