重要事項調査報告書とは?記載内容からチェックすべきポイントを徹底解説

不動産知識
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中古マンションを購入する上で、必ず確認しておかなければいけないのが管理体制の状況ですよね。この管理体制について知ることができる書類が「重要事項調査報告書」です。

今回は、「重要事項調査報告書」の基本的な知識から記載内容、そして中古マンション購入検討時に必ずチェックすべきポイントについて詳しく解説していきます。

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1. 重要事項調査報告書とは

冒頭でもお伝えしたように、重要事項調査報告書はマンションの管理体制について記載されている書類です。マンションの管理方法や共用設備の使用状況、管理費・修繕積立金、修繕状況といった建物全体の管理に関する内容が詳細に記載されています。

マンション購入の際には、立地や外観・内装・価格といった条件に目が行きがちですが、管理体制は建物の資産価値や寿命を左右するものになるため、事前に確認すべき重要な要素です。特に中古マンション購入を検討される方であれば必ず目を通しておかねばならない大事な書類と言えるでしょう。

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2. 重要事項調査報告書の記載内容、項目

重要事項調査報告書には、下記項目について記載がされています。

  • マンションの所在地や名称、部屋番号、建築年、総戸数等の建物情報
  • 駐車場や自転車置き場、トランクルーム等の共用設備の有無・使用状況やルール
  • マンションの管理形態・管理方法
  • 管理費・修繕積立金等の金額
  • 管理費・修繕積立金等の収支・滞納等の状況
  • 修繕積立金の総額
  • 管理費・修繕積立金等の変更予定
  • 長期修繕計画の有無や修繕実施状況、大規模修繕工事実施予定等
  • アスベストの使用調査の内容
  • 耐震診断の実施の有無・内容
  • その他、マンションの共用部における特筆すべき事項

こちらの項目を見るだけで、マンション管理に係る重要事項が記載されていることがわかりますよね。

そのため、マンション売却をする売主は、売買時にトラブルとならないように必ず重要事項調査報告書を取得して提出することになっています。

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3. 重要事項調査報告書の取得方法について

重要事項調査報告書は、物件を売り出す際に売主や売却活動をお願いした不動産会社が費用負担をし、マンションの管理会社に依頼して発行してもらいます。

物件購入検討者は、不動産会社を経由して重要事項調査報告書を確認することが可能です。

その際に注意すべきなのが、いつ発行された書類なのかということ。基本的には売り出しを始めた段階で重要事項調査報告書を取得しています。そのため、売り出し開始から期間が経過している場合、報告書の内容が古い可能性があるということです。

管理体制や状況は常に変わっていくものです。最新のものが見たい場合は、不動産会社に再発行の相談をしてみることをおすすめします。

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4. 重要事項調査報告書のチェックポイント

ここからは、重要事項調査報告書の内容について、具体的にどこをポイントにチェックすべきかを説明していきます。

4-1. 月々のランニングコスト

まず、気になるのが毎月のランニングコストについてですよね。

マンションは共同住宅になるため、維持管理に必要となる管理費や修繕積立金、その他、駐車場や駐輪場、ルーフバルコニー等の共用部を専有使用する際に掛かる使用料を毎月支払う必要があります。

住宅ローンを組んでマンション購入をした場合、物件費用の支払いに加えてこうした費用を支払うことになりますから、余裕を持って資金計画が立てられる範囲かどうかを踏まえて確認し、判断する必要があるでしょう。

ちなみに、国土交通省のデータによると、分譲マンションの管理費の平均は217円/㎡(60㎡のマンションでは13,020円)、修繕積立金の平均は11,243円/戸となっています。

マンションの築年や規模、物件の状況によっても金額は異なりますが、平均値と比べてどのくらいの金額なのか、あまりにも安い・高いといった場合は理由が何かも確認しておきましょう。

参考: 国交省マンションに関する統計・データ

4-2. 管理費・修繕積立金の滞納・価格改定の予定

重要事項調査報告書には、管理費・修繕積立金の滞納額の記載もあります。購入する住戸の元所有者に滞納があった場合、物件の引き渡しまでに滞納金の精算をしてもらわなければなりません。もし滞納があるまま物件の引き渡しを受けてしまうと、滞納額まで引き継ぐことになります。

また、対象住戸の滞納額だけでなく、マンション全体の滞納金額の確認も重要です。マンションの維持管理に必要な費用ですから、滞納があれば修繕計画もうまく実行されないでしょう。また、滞納を放置しているということであれば管理体制に問題があるとも言えます。

あまりに大きな金額の滞納があった場合は注意が必要です。

そして、管理費や修繕積立金の価格が上がる可能性があるかどうかも書面で確認が可能です。年月が経てば物件の劣化も進むため、段階的に金額は上昇する傾向にあります。月々の支払に直結する部分ですから、こちらも必ずチェックしておきましょう。

4-3. 修繕実施状況、大規模修繕の予定と積立金の残高

これまでの修繕実施状況と大規模修繕の予定の確認も重要です。

きちんと定期的に修繕が行われているかを確認することに加え、大規模修繕の実施状況や予定をチェックすることで、修繕積立金の残高が適切に溜まっているか、今後増額する可能性があるかということも読み取ることができます。

すでに直近で行われていれば、残高が少なくても問題ないでしょう。もし、近々実施予定があるのに残高が少ないという場合は、一時徴収や値上げの可能性もあります。

大規模修繕工事には一住戸あたり100万円前後かかると言われているため目安として覚えておきましょう。

4-4. 専用使用部分使用のルール

共用部の設備である駐車場や駐輪場、バイク置き場については、使用料だけでなく、使用台数の制限や空き状況、売買時の区画承継等についても確認しておきましょう。

また使用する予定がある場合は、最新の空き状況を問い合わせしておくとよいでしょう。

4-5. 水害・漏水、心理的瑕疵やマンショントラブル等

過去にマンションで起こった、水害や火災、地震等による被害、自殺や不審死、その他トラブル等の有無や詳細についても、重要事項として報告書に記載されます。

水害であれば行政のハザードマップの確認や保険加入の検討なども購入を判断する上で重要になります。記載内容で不明な点はきちんと確認しておきましょう。

4-6. その他マンションルール(リフォーム工事、ペット飼育)

ペットを飼っている方、これから飼いたいと検討されている方は、飼育の可否だけでなく、頭数や大きさ等のルールを必ずチェックしておきましょう。

また、リフォーム工事の実施についても、届け出や近隣への告知、使用する床材等の指定等のルールが記載されているため、これからリフォームやリノベーションを実施される予定がある方は確認しておきましょう。

5. まとめ

今回は、重要事項調査報告書について詳しく解説してきました。特に中古マンションの購入検討者にとって、管理状況を確認するために非常に重要な書類です。不明な点はプロである不動産会社の担当者に確認するとよいでしょう。