住宅ローン減税、改正で省エネ住宅性能に新区分!中古住宅の適用は?

住宅ローン・税制
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住宅ローン減税は、住宅ローンを利用して住まいを購入する際に、一定の要件を満たした場合に税の控除が受けられる優遇制度のこと。不動産購入を検討される方であればぜひ利用したい制度ですよね。

2022年度の税制改正では、住宅ローン減税の内容がより省エネ住宅に有利となる内容となっていることをご存じでしょうか。

今回は、住宅ローン減税についての基本的な情報から、今回の改正によって注目されている住宅の省エネ性能の違いによる控除内容について、また、中古住宅取得の場合の住宅ローン減税のポイントについて詳しく解説していきます。

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1. 住宅ローン減税仕組みと2022年度税制改正のポイント

まず、住宅ローン減税とは何か、また2022年度の税制改正による住宅ローン減税の変更点について見ていきましょう。

1-1. 住宅ローン減税とは

住宅ローン減税とは、正式名称を「住宅借入金等特別控除」と言い、住宅ローン控除とも呼ばれます。個人が住宅ローンを利用して住宅を購入した場合、一定の要件のもと、年末の住宅ローン残高から所得税等(控除額が所得税額を超える場合は住民税からも一部控除)から、控除されるという制度です。

対象住宅は、新築だけでなく、中古住宅、増築や一定規模の改修も対象となりますが、住宅の種類や性能によって控除期間や控除額が異なります。

適用要件はそれぞれで異なるため注意が必要です。また対象となるのは金融機関からの借入で親族からの借入は対象外となる点も注意しましょう。

1-2. 2022年(令和4年度税制改正)で住宅区分見直し、省エネ性能の新区分創設

2022年度の税制改正による住宅ローン減税の変更点として注目されているのが、省エネ性能による住宅新区分が設けられたということです。

対象住宅の省エネ性能によって「認定住宅」「ZEH水準省エネ住宅」「省エネ基準適合住宅」の三段階に分け、住宅の環境性能に応じて借入限度額の上乗せ措置が講じられることになりました。

今後、国や自治体が省エネ性能の高い住宅の推進に、より力を入れていく方向に舵を切っていくことがわかりますね。

住宅ローン減税の概要(令和4年度税制改正後)

新築/既存等住宅の環境性能等借入限度額控除期間
令和4・5年入居令和6・7年入居
新築住宅
買取再販 ※ 1
長期優良住宅・低炭素住宅5,000万円4,500万円13年間 ※ 2
ZEH水準省エネ住宅4,500万円3,500万円
省エネ基準適合住宅4,000万円3,000万円
その他の住宅※23,000万円0円
既存住宅長期優良住宅・低炭素住宅3,000万円10年間
ZEH水準省エネ住宅
省エネ基準適合住宅
その他の住宅2,000万円

※ 1 宅地建物取引事業者により一定の増改築当が行われた一定の居住用家屋
※ 2 省エネ基準を満たさない住宅。令和6年以降に新築の建築確認を受けた場合、住宅ローン減税の対象外(令和5年末までに新築の建築確認を受けた住宅に令和6・7年に入居する場合は、借入限度額2,000万円・控除期間10年間)

主な要件

  1. 自らが居住するための住宅
  2. 床面積が50㎡以上 ※
  3. 合計所得金額が2,000万円以下 ※
  4. 住宅ローンの借入期間が10年以上
  5. 引渡し又は工事完了から6ヶ月以内に入居
  6. 昭和57年以降に建築又は現行の耐震基準に適合 等

※ 令和5年末までに建築確認を受けた新築住宅を取得する場合、合計所得金額1,000万円以下に限り、床面積要件が40㎡以上

国土交通省ホームページ 住宅ローン減税概要より引用

1-3. その他税制改正の主なポイント

その他、2022年度の税制改正による住宅ローン減税の主なポイントとしては、入居に係る適用期限が4年間延長(2025年12月末まで)されたこと、控除率は1%から0.7%へ縮小、控除期間は特例措置ではなく原則新築住宅は13年、中古住宅は10年となったこと。

そして、所得制限が3,000万円から2,000万円に引き下げられたことなどが挙げられます。

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2. 中古住宅における適用要件のポイントと注意点

前述したように、2022年度の税制改正では控除率が引き下げられるなど、若干減税が縮小される部分もありますが、中古住宅では条件が緩和されて控除が受けやすくなる面もあります。

では、中古住宅に係る適用要件のポイントについて詳しく見ていきましょう。

2-1. 中古住宅の築年数要件が撤廃され、条件緩和

中古住宅特有の適用要件として、耐震基準を満たしているかどうかの証明が必要となります。

改正前は、木造などの非耐火構造の住宅は築20年以内、マンションなどの耐火構造の住宅は築25年以内という築年数の適用要件がありました。今回の改正では、この築年数の要件がなくなり、「昭和57年(1982年)以降に建築又は現行の耐震基準に適合」と変更され、条件が緩和されることになりました。

これまでは、築年数の要件に合わない場合は、耐震基準適合証明書や既存住宅性能評価書の取得、既存住宅売買瑕疵保険への加入などを行い、耐震基準に適合していることを証明する必要がありました。改正後は、新耐震基準の物件であればこうした書類の提出は不要となり、申請がしやすくなったと言えます。

ただし、旧耐震物件を購入の場合は、これまで通り現行の耐震基準を満たすことを証明する必要があります。

2-2. 買取再販物件は新築同様の控除内容に

中古住宅の控除期間は原則10年となりますが、買取再販物件の控除期間は、新築と同様の13年となります。

買取再販物件とは、宅地建物取引事業者(不動産会社など)が一度買い取り、リフォーム・リノベーションを行ったうえで再販される物件のことを言います。

ただし、買取再販物件の場合、売主である不動産会社に「増改築等工事証明書」を発行してもらう必要がある点には注意が必要です。住宅ローン減税の利用を検討される方は、購入の際に必ず確認を行いましょう。

2-3. リフォーム減税との併用について

中古住宅を買ってリフォーム・リノベーションをされるという方であれば、リフォーム減税制度の利用も検討できます。

省エネリフォームなどの特定のリフォームを行った場合、工事費用の10%を所得税から控除するというものです。住宅ローン減税と異なり、金融機関のローンを利用するかどうかは問いません。

ただし、原則として住宅ローン減税とリフォーム減税の併用はできません、工事内容等によっても控除額がことなるため、比較検討されることをお勧めします。

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3. まとめ

今回は、住宅ローン減税について、省エネ性能の新区分創設をはじめとした2022年度の税制改正の変更点から、主に中古住宅に関する住宅ローン減税の適用要件やポイントについて詳しく見てきました。

以前よりも、中古住宅でも住宅ローン減税を利用しやすくなっています。ぜひこの記事を参考に、上手に制度を活用してお得に住まいを手に入れてください。