消費税増税対策で住宅ローン減税が3年間延長?制度の概要を紹介

住宅ローン・税制
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2019年10月から消費税が従来の8%から原則10%に増税されました。
住宅購入も10%の消費税が掛かり、負担が大きくなったことから、住宅を買いやすくするために住宅ローン減税が拡大されました。

今回は、住宅ローン減税の概要と、新型コロナウイルスの影響に伴う住宅ローン減税の救済措置についても解説します。

※ 2022年以降の最新情報については、「住宅ローン控除、2022年以降の内容は? 変更点とポイントについて」で詳しく解説しています。

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1. 住宅ローン減税の基礎知識

これからマイホームを購入する方の中には、住宅ローン減税の具体的な内容についてよく分からないという方もいらっしゃるでしょう。ここでは、減税の概要について簡単に説明します。

1-1. 所得税と住民税が対象

住宅ローン減税は正式名称を「住宅借入金等特別控除」と言います。マイホームを購入するにあたって住宅ローンを組んだ場合、所得税と住民税の一部が免除される制度です。
毎年の住宅ローン残高の1%が控除対象で、これが10年間適用されます。

1-2. 減税のための要件

ローンを組めば誰もが減税対象になるとは限りません。一定の要件を満たす必要があります。
まず、物件の床面積(登記簿上)が50平方メートル以上でなければなりません。その上で、新築もしくは不動産を取得した日から6か月以内に居住し、適用される年の12月31日まで継続してその住宅で暮らす必要があります。

※ 2021年の税制改正で、面積条件が40平米以上に緩和される見込みとなりました。
参考記事: 住宅ローン控除制度50平米→40平米以上に条件緩和!1LDKがお得に!?

さらに収入も要件の中に含まれます。控除を受ける年のトータルの所得金額が3000万円以下でなければ申請できないので注意しましょう。
ただし、今後減税の条件については変更される可能性もあります。国税庁のウェブサイトに最新情報が記載されているため、気になる方はチェックしてみてください。

※ 住宅ローン減税の条件については、「住宅ローン控除の条件とは?気を付けるべきポイントを教えます!」で詳しく解説しています。

1-3. 減税の注意点

住宅ローン減税は、住宅を購入して要件を満たせば自動的に適用されるわけではありません。確定申告の手続きを済ませないといけないため注意しましょう。年末調整でも手続きは可能ですが、住宅ローンを組んだ初年度は必ず確定申告をする必要があります。

確定申告は、毎年2月中旬から3月中旬にかけて、自宅を管轄している税務署でおこなわないといけません。確定申告は平日のみの受付ですから、空いている時間を利用して手続きを済ませましょう。

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2. 増税による住宅ローン減税の変更点

2019年に税制改正され、消費税が増税されました。
増税による消費意欲の減退を緩和するため、住宅ローン減税のルールが見直されています。その概要について詳しく見ていきましょう。

2-1. 3年間延長される

住宅ローン減税が適用される期間は本来10年ですが、消費税の増税に伴って適用期間が3年間延長されました。つまり、13年間にわたって所得税と住民税の減税が適用されるわけです。

ただし、適用を受けるためには、増税後に住宅を購入した上で2020年12月31日までにその物件に入居しなければなりません。2020年中にマイホームを購入して引っ越せば、住宅ローン減税の恩恵を13年間受けられる形です。
勘違いしやすいのは、12月31日までに売買契約を交わせば良いと思ってしまう点です。入居まで済ませないといけませんから、誤解しないように注意しましょう。

2-2. 減税額の違いに注意

減税措置は10年から13年に延長されますが、減税額の計算方法が2段階になることにも留意する必要があります。

最初の10年間は、これまでと同様に年末時点の住宅ローン残高の1%で40万円を上限としますが、それ以降は計算方法が変わります。
11~13年は、年末残高の1%もしくは建物の取得金額から、消費税額を差し引いたものの2%を3で割ったもののいずれか低い金額が適用されます。いずれも10年目までと同じで、減税幅の上限は40万円です。

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3. 新型コロナの影響に伴う住宅ローン減税の救済措置

世界中で新型コロナが流行し、経済に大きな影響を与えています。
日本でも、新型コロナ対策として様々な施策を打ち出しており、直近では住宅ローン減税の特例措置(弾力化措置)が検討されています。具体的にどのような内容になるのか、以下で解説します。

3-1. 延長対象を拡大

上で紹介したように、消費税増税とともに住宅ローン減税の対象期間が10年から13年と3年間延長されました。
しかし、延長が適用されるためには2020年末までに購入した住宅に住むことが条件となっています。今回、この期間を延長することで、より減税延長の対象者を増やそうとしています。

国土交通省が公表した特例措置の案によると、新型コロナウイルスの影響で2020年末までに入居できなかった場合でも、延長措置が受けられるというものです。注文住宅であれば、2020年9月末までに契約がおこなわれた場合が対象です。
既存住宅や分譲住宅を購入する場合は、2020年11月末までの契約であれば減税の延長措置が受けられます。

3-2. 中古物件をリフォームした場合

最近では中古物件を購入し、リフォームするスタイルが人気です。新築を購入するよりもお得ですし、リフォームすれば新築同様のきれいな状態で入居できるためです。この「中古 + リフォーム」で購入した際にも住宅ローン減税が受けられるかもしれません。

現在のルールによると、既存住宅を取得してから6か月以内に入居するのが減税を受けるための条件です。しかし、既存住宅を取得してから増改築工事を行った場合や、新型コロナの影響で工期が遅れている場合は、住宅取得日から5カ月以内にリフォーム工事の契約がおこなわれていれば、増改築工事の完了した日から6か月以内に入居すれば問題ありません。

新型コロナウイルスの影響で県をまたぐような移動ができない、中国など海外に部品を発注している場合に商品が届かないなどのトラブルが起きているため、この救済措置は大きな恩恵が期待できます。

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4. まとめ

消費税の増税に伴い、住宅取得への金銭的な負担が大きくなってしまいました。
しかし、それで買い控えが起こらないよう政府も様々な救済措置を取っていますから、制度を頭に入れておくと良いでしょう。

また、新型コロナウイルスの影響によって経済への甚大な影響が予測されるため、そのための対策も急がれている状況です。上で紹介した新型コロナへの措置はあくまでも案です。関連税制法案が国会通過することが前提条件となっているため、最新情報を常にチェックしましょう。