マンションを購入しても、転職や転勤といったライフスタイルの変化、その他の様々な理由で売却を検討せざるを得ない状況になる可能性は誰にでもあります。購入時に人気の物件が必ず簡単に売れるという訳ではなく、売り出しても中々買い手が現れずに困っている人も多いのが実情です。
いざ売ろうとした時に焦らないよう、売却をすぐに考えていない方でも、事前にマンションがどうしたら売りやすいかを知っておくことは非常に重要です。
今回は、マンション早期売却のためのコツや、売れない場合の対策などについて詳しく解説していきます。
1. マンション売却に掛かる期間と、価格との関係
首都圏における2021年下期の中古マンション取引事例によると、マンションの売り出しから売却までの期間は1ヶ月で約45.8%、3ヶ月で69.7%、6ヶ月で84.1%の物件が成約に至っています。ほとんどの物件は約半年で売却されているということになります。
また、売却期間によって価格がどのくらい値引きされているかがわかる物件価格乖離率※のデータをみると、1ヶ月以内で売却された物件の物件価格乖離率※は―2.41%。そこから期間が延びるごとに乖離率は大きくなり、12か月まで長期化した場合は約―10%ほどの値下げが必要となっているという結果になっています。
つまり、中々売れなかった物件程、最初の価格設定が高かったということです。早期売却には適切な価格設定が重要であることがわかります。
※物件価格乖離率とは、売り出し時の価格と物件が成約した価格の差額との比率を言います。マイナス数値が小さいほど売り出し価格が適正であったと言えます。
参考: 【東京カンテイ】中古マンションの価格乖離率&売却期間(首都圏)
2. 適正な価格設定をする上で重要なポイント
データからも読み取れるように、早期売却には価格設定が非常に重要です。売主側とすればできるだけ高い金額で売却を行いたいものですが、価格が高すぎても市場のニーズと合わず売れません。
物件の価値に見合った適切な価格設定を行うために重要なポイントについて詳しく見ていきましょう。
2-1. 周辺の市場価格、販売状況の確認
まず、周辺物件の価格相場を確認することが重要です。インターネット上に色々な不動産サイトがありますから、自分でも簡単に確認することができます。
特におすすめなのがレインズマーケットインフォメーションです。沿線や最寄り駅、駅からの距離、間取り、成約時期などを絞って確認することができるため、より詳しい価格相場が確認できるでしょう。
また、同じマンション内に売り出し中の物件があるかどうかは売却状況に影響が出やすいため、事前にチェックが必要です。
2-2. 不動産会社へ物件情報をきちんと伝える
周辺の物件相場や物件の条件などを把握できると、自分の物件のどこにアピールポイントがあるか、またマイナスポイントがあるかということも見えてくるでしょう。
物件査定額の算出の際には、正しい価値を判断してもらうためにも、良い面悪い面に関わらずできるだけ詳しく不動産会社に情報を積極的に伝えることが重要です。
3. 売りづらい物件の特徴を知る
売却を早く行うためには、市場で売りづらい物件の特徴を知ることも重要です。
傾向を知ることで、事前の対策を検討することもできます。詳しく見ていきましょう。
3-1. 管理費・修繕積立金が高い
マンションを維持管理するために、毎月管理費・修繕積立金の支払いが発生します。これらは自分で設定できるものではなく、マンション全体で決められるものです。
物件費用の支払いに加えて、毎月掛かるランニングコストになるため、費用が高い物件は売りづらい傾向があります。 ちなみに、管理費と修繕積立金の合計額は2~3万円程度が相場です。
築年が古い、規模が小さい、専有面積が広い、共有施設・人的サービスがあるといった要素がある物件の場合は、相場の金額よりもランニングコストが高くなりがちです。まず、周辺物件よりも費用が高く設定されている理由は何かをご自身でも確認してみましょう。
管理体制やサービスが充実している、修繕計画がしっかりと立てられている等といった理由であれば、物件の特徴として買主の方も納得して購入につながることもあるかもしれません。
3-2. 築年が古い
築年の古さも売りづらくなる理由の一つです。専有部内であれば、リフォームやリノベーションをしたうえで販売することを検討してみるのもおすすめです。また、築年が古くても管理体制が良く、外観や共用設備の修繕や更新がきちんと行われている物件であれば、逆にアピールポイントにもなります。
ただし、物件によっては条件により住宅ローンが組みづらいなどといったハードルにより、購入者が選択肢から外さざるを得ないという場合もあります。物件価格の相場よりも安く設定する他、より早く確実に売却したいという場合は不動産買取業者への売却依頼を検討するのも良いでしょう。
3-3. 周辺環境による需要の低さ
賃貸とは異なり、長く住むことを前提としているため、より住みやすさや環境の良さを重視する人は多いですよね。駅からの距離が遠い、公共交通機関が近くにない、周辺施設が少ない、陽当りや風通しが良くない、騒音があるといったエリアは、環境による影響で需要が少なく売りづらい傾向があります。
環境を変えることはできないため、そうした条件以外でメリットとなる部分をまとめて買主に説明できるようにしておくようアピールポイントを準備しておくとよいでしょう。
4. マンションが売れない場合の対策
売り出し後、中々問い合わせがない、問い合わせがあっても成約につながらないといった場合はどうすればよいのか。対策について詳しく見ていきましょう。
4-1. 値下げの検討
適切な価格設定のはずなのに成約に至らないといった場合は、値下げの検討が必要です。
ただし、効果的なタイミングで行うことが重要です。売れ行きの良い1月~3月、9月のタイミングで行う、もしくは問い合わせ状況を確認して価格の設定による原因であれば、早めに値下げに踏み切るのも一つの方法です。
4-2. 内見等の対応、部屋の印象を改善する
内覧時の対応やお部屋の印象などを見直すことも重要です。
内覧時の購入検討者からの質問にはきちんと答えられているか、アピールポイントをきちんとわかりやすく説明できているかも振り返ってみましょう。実際に住んでいる売主の話には説得力があります。
また、お部屋の印象をよくするためにハウスクリーニングをするのもおすすめです。特に水回りは買主が気になるポイントですから、プロに依頼してみるのも良いでしょう。
4-3. 不動産会社の売却活動の確認
不動産会社が行っている広告活動を確認することも重要です。サイトの販売ページの掲載内容を確認し、写真や文言・アピールポイントなどを見直してもらうのも良いでしょう。
また、不動産会社との媒介契約は3ヶ月の期間になるため、契約内容を見直すことも検討が可能です。媒介契約内容、販売活動の状況等を見直し、改めて自分にあった内容はなにか検討することも重要です。
5.まとめ
今回は、マンション売却について詳しく解説してきました。予め早期売却のためのコツを把握し、価格設定や販売活動を適切に行うことが重要です。