中古マンションは、新築に比べると価格は安いものの、建物自体の劣化が進んでいます。そのため、マンションを修繕することになるのですが、その際に必要となるのが修繕積立金です。
この記事では、修繕積立金の概要から、徴収パターン、さらには修繕積立金に関する注意点などについて解説します。これから中古マンションを購入しようとしている方は、特に参考にしてみてください。
1. 修繕積立金とは
修繕積立金とは、マンションの修繕に向けて積み立てられていく費用のことです。
マンションは新築時こそ綺麗ですが、築年数が経過していくにつれ様々な部分が劣化していきます。例えば外壁が汚れてしまったり、配水管が壊れてしまったり、といったものです。これらをそのままの状態にしておくと、マンションの資産価値が下がるだけでなく、住民の生活にも支障をきたす恐れがあります。そういった事態を避けるために、マンションは一定年数が経つタイミングで大規模な修繕をしているのです。
一方で、修繕には多額の資金が掛かるため、その費用はマンションの住民が負担する必要があります。これが修繕積立金です。
1-1. 修繕積立金はいくら?
修繕積立金は修繕内容によって変わってきます。また、マンション全体の規模や専有部分の広さ、築年数も修繕積立金額に影響するため、一概に○円と断言はできません。
ただし、一般的には新築のマンションで1万円以下、築10年以上のマンションで2万円程度が目安とされているため、だいたい1〜2万円程度と考えておくと良いでしょう。もちろん、この金額よりもさらに高額になる可能性があるため注意してください。
2. 修繕積立金の徴収方法
マンションの住民から徴収する修繕積立金ですが、その徴収方法は大きく分けて2種類です。1つは、3年ごとや5年ごとなど、段階的に修繕積立金が値上がりしていくパターンです。イメージは以下の通りです。
ちなみに値上がりについては、新築当初からスケジュールが決まっているものと、適宜管理組合で決議を取って決めていくものがあります。
築年数 | 修繕積立金 |
1~3年 | 6,360円 |
4~7年 | 8,330円 |
8~11年 | 11,280円 |
12~15年 | 14,230円 |
16~20年 | 17,180円 |
21~24年 | 20,130円 |
25~30年 | 24,560円 |
このパターンは、緩やかに徴収額が増えていくため、値上がりにも対応しやすくなっています。
もう1つのパターンは、基本的には一定額で、一時金として特定のタイミングで大規模な徴収を行うというものです。イメージは以下の通りです。
築年数 | 修繕積立金+一時金 |
1~3年 | 6,360円 |
4~7年 | 6,360円 |
8~11年 | 6,360円 |
12~15年 | 6,360円 + 一時金12年目: 60万円 |
16~20年 | 6,360円 + 一時金24年目: 160万円 |
21~24年 | 6,360円 |
25~30年 | 6,360円 + 一時金30年目: 110万円 |
値上がりしない点は大きな特徴ですが、一時金の徴収額がかなり大きいため、支払い時の負担は大きいと言えるでしょう。
また、高額であるが故に、支払いができない方が出てくる可能性があります。そうなると修繕計画自体にも影響が出てくる恐れがあります。特に、高齢化が進んでいるマンションだと支払いができない方がたくさん出てくるかもしれません。
3. 長期修繕計画をチェックする
中古マンションを購入する際は、長期修繕計画をチェックするようにしましょう。長期修繕計画はその名の通り、長期的な視点で見た修繕計画のことで、修繕積立金を算出する際のベースになっているものです。長期修繕計画を購入前にチェックすることで、大まかな修繕積立金の予想を立てられます。
長期修繕計画は、一度作ったら終わりではありません。5年程度を目安に修繕計画の見直しが行われるのが一般的です。また、見直しに伴い修繕積立金額も変動する可能性があります。それでも、事前に修繕計画をチェックしておくことで資金計画の参考にもなるため、必ず確認しておきましょう。
3-1. 長期修繕計画がないマンションも存在する
基本的には、どのマンションにも長期修繕計画は存在しますが、ごく稀に計画が作られていないマンションもあります。長期修繕計画がないマンションは、ある時急に「マンションを修繕するので修繕積立金を徴収します」といった事態が発生する恐れがあるため注意が必要です。
また、修繕計画は基本的にマンションの管理組合が中心となって作成するものですが、これが無いということは管理組合自体が機能していないと考えられます。そのようなマンションだと、購入後にもトラブルが発生するかもしれません。
※ 長期修繕計画については、「長期修繕計画とは?基本的な内容と必要性、購入時にチェックすべきポイント」で詳しく解説しています。
4. 中古マンション購入時の修繕積立金に関する注意点
ここでは、修繕積立金に関する各種注意点について解説します。中古マンション購入前に知っておくことで、より満足のいくマンション選びができるはずです。
4-1. 修繕積立金額が低いマンションに注意
マンションによっては、修繕積立金額を低く設定している場合もあります。一見するとお得なように見えますが、修繕直前になって修繕資金の不足が発覚し、急遽修繕積立金を2倍以上に値上げしたり、数十万円の一時金を徴収したりするケースもあるため注意が必要です。
このような事態を避けるためにも、購入前に修繕計画をしっかりとチェックし、計画に対する修繕積立金の額が適切かどうか、考えるようにしてください。
また、中古マンションの場合、すでに大規模修繕の実績があれば、修繕積立金の変動履歴などもチェックできるでしょう。
4-2. 入居直後に修繕積立金が値上がりする
中古マンションの場合、入居してすぐのタイミングで修繕積立金が値上がりしたり、一時金を徴収されたりすることがあります。これは、前の住民が修繕積立金の値上がりや一時金徴収の直前のタイミングで部屋を売り出しているためです。入居したばかりであっても、前の住民の修繕積立金や一時金を引き継ぐことになってしまうため、このような事態が起こってしまうのです。事前に修繕積立金の値上がりや一時金徴収のタイミングを確認するようにしましょう。
4-3. 資金計画は修繕積立金込みで考える
修繕積立金は、マンションに住んでいる限り発生するものです。例え、ローンの支払いが済んだとしても、その後も修繕積立金や一時金の支払いは発生します。そのため、中古マンション購入の資金計画には、住宅ローンはもちろん修繕積立金や一時金などの費用も含めて考えるようにしましょう。
5. まとめ
今回は、中古マンションと修繕積立金の関係について解説しました。新築マンションとは異なり、中古マンションの場合、入居して早いタイミングで大規模修繕を迎える可能性があります。そのため、購入前からしっかりと修繕積立金や一時金について理解しておくことが重要です。
これから中古マンションを購入しようとしている方は、必ず修繕計画や修繕積立金についても確認しておくようにしましょう。